急性腹部大動脈閉塞症に対して救命,救肢した一例—術中CHDFとModified Controlled Limb Reperfusion
急性腹部大動脈閉塞症は稀な疾患であるが,MNMS発症率や死亡率はともに高い.症例は77歳男性.夜間に突然の両下肢運動麻痺が出現し救急搬送となった.両下肢の運動感覚障害および末梢動脈触知不良,造影CTで腎動脈下腹部大動脈の閉塞を認め,緊急血行再建の適応と判断した.しかし手術室搬入時に発症より14時間が経過しており,血行再建によるMNMSが懸念されたため,左腋窩動脈–両側大腿動脈バイパス術よる血行再建に加え,再灌流前にCHDFを開始し,modified controlled limb reperfusion(大腿動静脈からの生食灌流と段階的な遮断解除)を行った.術後もCHDFを継続し,MNMSによ...
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Published in | Japanese Journal of Vascular Surgery Vol. 27; no. 1; pp. 49 - 53 |
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Main Authors | , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
特定非営利活動法人 日本血管外科学会
2018
日本血管外科学会 JAPANESE SOCIETY FOR VASCULAR SURGERY |
Subjects | |
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ISSN | 0918-6778 1881-767X |
DOI | 10.11401/jsvs.17-00076 |
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Summary: | 急性腹部大動脈閉塞症は稀な疾患であるが,MNMS発症率や死亡率はともに高い.症例は77歳男性.夜間に突然の両下肢運動麻痺が出現し救急搬送となった.両下肢の運動感覚障害および末梢動脈触知不良,造影CTで腎動脈下腹部大動脈の閉塞を認め,緊急血行再建の適応と判断した.しかし手術室搬入時に発症より14時間が経過しており,血行再建によるMNMSが懸念されたため,左腋窩動脈–両側大腿動脈バイパス術よる血行再建に加え,再灌流前にCHDFを開始し,modified controlled limb reperfusion(大腿動静脈からの生食灌流と段階的な遮断解除)を行った.術後もCHDFを継続し,MNMSによる致死的な合併症をきたすことなく経過した.両下肢の切断も回避し,最終的に杖歩行まで可能になった.MNMSの高リスク症例であったが,救命・救肢できたので報告した. |
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ISSN: | 0918-6778 1881-767X |
DOI: | 10.11401/jsvs.17-00076 |