冠動脈ステントと大伏在静脈で作成したVein-covered stentを用いた右大腿動脈人工血管吻合部仮性瘤に対する血管内治療の1例

症例は74歳,男性.1年前に右下肢閉塞性動脈硬化症に対し,人工血管を用いて右大腿動脈–膝窩動脈バイパス術を施行.半年後にバイパスグラフトの閉塞を来たし,その数日後にグラフト中枢側吻合部に仮性動脈瘤を形成したため,血栓除去と仮性動脈瘤の修復術を施行.その後外来にて経過観察中,同部に仮性動脈瘤の再発を認めた.徐々に瘤の拡大を認め手術適応と判断.しかしながら,患者および家族が手術は希望せず,過去3回の手術で重度の癒着が予想され,仮性動脈瘤も巨大で直達手術は困難と思われたため,Vein-covered stentによる血管内治療を選択した.術後経過は良好で,仮性動脈瘤は縮小した.冠動脈ステントと大伏在...

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Published inJapanese Journal of Vascular Surgery Vol. 27; no. 6; pp. 481 - 484
Main Authors 橋本, 雅史, 雨宮, 正, 波多野, 靖幸, 伊藤, 茂樹, 荻野, 均, 室町, 幸生
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 特定非営利活動法人 日本血管外科学会 15.12.2018
日本血管外科学会
JAPANESE SOCIETY FOR VASCULAR SURGERY
Subjects
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ISSN0918-6778
1881-767X
DOI10.11401/jsvs.18-00056

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Summary:症例は74歳,男性.1年前に右下肢閉塞性動脈硬化症に対し,人工血管を用いて右大腿動脈–膝窩動脈バイパス術を施行.半年後にバイパスグラフトの閉塞を来たし,その数日後にグラフト中枢側吻合部に仮性動脈瘤を形成したため,血栓除去と仮性動脈瘤の修復術を施行.その後外来にて経過観察中,同部に仮性動脈瘤の再発を認めた.徐々に瘤の拡大を認め手術適応と判断.しかしながら,患者および家族が手術は希望せず,過去3回の手術で重度の癒着が予想され,仮性動脈瘤も巨大で直達手術は困難と思われたため,Vein-covered stentによる血管内治療を選択した.術後経過は良好で,仮性動脈瘤は縮小した.冠動脈ステントと大伏在静脈によるVein-covered stentを用いた血管内治療の報告は極めて稀であり,有用な一手段と考え報告する.
ISSN:0918-6778
1881-767X
DOI:10.11401/jsvs.18-00056