学童期口腔健康レベル評価法の確立

学童期の永久歯健全者の口腔健康状態を評価する方法を確立することを目的として,低う蝕レベルの小学校児童293名を対象に,1年生時の乳歯健全歯数と,唾液中S.mutans量との組み合わせで,6年生時までの永久歯健全者の推移を検討した.その結果,1年生時下顎乳臼歯が3歯以上健全な群の6年生時健全者率が最も高く(82.1%),下顎乳臼歯健全歯数が2歯以下で,唾液SMレベルClass 1以上の群で,6年生時健全者率が最も低い(47.1%)ことがわかった.そこで,下顎乳臼歯が3歯以上健全な群をHigh Health,下顎乳臼歯健全歯数2歯以下でSMレベルClass 0をModerate,下顎乳臼歯健全歯数...

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Published in口腔衛生学会雑誌 Vol. 61; no. 1; pp. 30 - 37
Main Authors 神原, 正樹, 西村, 有祐
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 口腔衛生学会 01.01.2011
日本口腔衛生学会
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ISSN0023-2831
2189-7379
DOI10.5834/jdh.61.1_30

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Summary:学童期の永久歯健全者の口腔健康状態を評価する方法を確立することを目的として,低う蝕レベルの小学校児童293名を対象に,1年生時の乳歯健全歯数と,唾液中S.mutans量との組み合わせで,6年生時までの永久歯健全者の推移を検討した.その結果,1年生時下顎乳臼歯が3歯以上健全な群の6年生時健全者率が最も高く(82.1%),下顎乳臼歯健全歯数が2歯以下で,唾液SMレベルClass 1以上の群で,6年生時健全者率が最も低い(47.1%)ことがわかった.そこで,下顎乳臼歯が3歯以上健全な群をHigh Health,下顎乳臼歯健全歯数2歯以下でSMレベルClass 0をModerate,下顎乳臼歯健全歯数2歯以下でClass 1以上の群をLow Healthと評価した.Moderate群の6年生時健全者率は67.6%であった.各健康レベルの6年生時までの永久歯健全者の推移を検索した結果,High Health群では,いずれの学年時でも健全を維持できなかった者は数%程度であったのに対し,Low Health群は,毎年1割以上減少していた.また,Moderate群は1年〜2年,3年〜5年時に健全者が減少していることがわかった.以上の結果より,High Health群には健康レベルを維持するための健康増進対策,ModerateおよびLow Health群には1年時および3年時に重点的な健康レベルアップ対策が必要であることがわかった.
ISSN:0023-2831
2189-7379
DOI:10.5834/jdh.61.1_30