牛乳より精製されるMicellar Calcium Phosphate-Phosphopeptideのエナメル質再石灰化作用の検討

• Published in: 口腔衛生学会雑誌 Vol. 59; no. 1; pp. 2 - 6
• Main Authors: 於保, 孝彦, 飯島, 洋一, 西山, 毅
• Format: Journal Article
• Language: Japanese
• Published: 一般社団法人 口腔衛生学会 01.01.2009; 日本口腔衛生学会
• Subjects: ミセル性リン酸カルシウム(MCP-PP); 再石灰化; 初期う蝕; 耐酸性
• ISSN: 0023-2831; 2189-7379
• DOI: 10.5834/jdh.59.1_2

初期う蝕病巣の再石灰化はフッ化物をはじめ,さまざまなカルシウム複合体によって促進される.複数のカルシウム複合体を含む製品が開発されており,う蝕抑制効果が認められている.今回われわれは,牛乳より精製された新しいカルシウム複合体,Micellar Calcium Phosphate-Phosphopeptide (MCP-PP)が,エナメル質表層下脱灰病巣に及ぼす再石灰化作用について検討した.その結果,MCP-PPを含む溶液は対照液に比べ高い再石灰化促進作用を示すことが認められた.次に,MCP-PPによって再石灰化したエナメル質の耐酸性を検討したところ,脱灰処理によって喪失したミネラル量は対照群に比して有意に少なく,MCP-PPによって再石灰化したエナメル質は高い耐酸性が付与されていることが明らかになった.以上の結果から,MCP-PPは有効なカルシウム貯蔵剤としてう蝕予防製品に応用できる可能性が示唆された.