妊娠中に挿入した下大静脈フィルターによる血管壁穿通に対し開腹下抜去を行った1 例

要旨:妊娠後期に左腸骨静脈血栓症を生じた症例で肺塞栓予防目的に一時的下大静脈フィルター(Gunther Tulip vena cava filter)を留置した.出産後のCT でフィルターの脚が下大静脈を穿通して膵頭部内に位置しているのが認められた.カテーテルによるフィルター抜去も考えられたが,周囲臓器の副損傷の回避,確実な止血など安全性を優先して開腹直視下に抜去した.術後に膵液瘻を生じることもなく経過は良好であった.妊婦に対する下大静脈フィルター留置には適応を含め,使用するフィルターの種類,その摘出方法など多くの問題があると考えられた....

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Published inJapanese Journal of Vascular Surgery Vol. 24; no. 1; pp. 40 - 44
Main Authors 牛島, 孝, 今釜, 逸美, 井本, 浩, 北薗, 巌, 荒田, 憲一, 菰方, 輝夫
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 特定非営利活動法人 日本血管外科学会 2015
日本血管外科学会
JAPANESE SOCIETY FOR VASCULAR SURGERY
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ISSN0918-6778
1881-767X
DOI10.11401/jsvs.14-00075

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Summary:要旨:妊娠後期に左腸骨静脈血栓症を生じた症例で肺塞栓予防目的に一時的下大静脈フィルター(Gunther Tulip vena cava filter)を留置した.出産後のCT でフィルターの脚が下大静脈を穿通して膵頭部内に位置しているのが認められた.カテーテルによるフィルター抜去も考えられたが,周囲臓器の副損傷の回避,確実な止血など安全性を優先して開腹直視下に抜去した.術後に膵液瘻を生じることもなく経過は良好であった.妊婦に対する下大静脈フィルター留置には適応を含め,使用するフィルターの種類,その摘出方法など多くの問題があると考えられた.
ISSN:0918-6778
1881-767X
DOI:10.11401/jsvs.14-00075