産業従業員の歯の健康に対するストレスの関連性

産業歯科保健活動の資料とするため,勤労者のストレスが歯の健康にどう影響しているかを検討した.対象はH社従業員459名(うち分析対象:男性20〜40歳代235名,男性50歳代以上50名)とした.質問紙チェック票である「歯の健康づくり得点」票と「勤労者のストレス調査票」を用いて調査し分析した.1.「歯の健康づくり得点」の判定基準15点以下の者が20〜40歳代と50歳代以上でともに6割以上であった.この判定基準の者は,生活習慣の改善や歯科医のアドバイスが必要であるとみなされる.それゆえ,従業員に対する事業所側からの口腔保健の働きかけが望まれる.2.「勤労者のストレス調査票」得点では,判定3基準別で過...

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Published in口腔衛生学会雑誌 Vol. 56; no. 1; pp. 28 - 36
Main Authors 中垣, 晴男, 森田, 一三, 忠津, 佐和代, 木村, 浩之
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 口腔衛生学会 01.01.2006
日本口腔衛生学会
Subjects
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ISSN0023-2831
2189-7379
DOI10.5834/jdh.56.1_28

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Summary:産業歯科保健活動の資料とするため,勤労者のストレスが歯の健康にどう影響しているかを検討した.対象はH社従業員459名(うち分析対象:男性20〜40歳代235名,男性50歳代以上50名)とした.質問紙チェック票である「歯の健康づくり得点」票と「勤労者のストレス調査票」を用いて調査し分析した.1.「歯の健康づくり得点」の判定基準15点以下の者が20〜40歳代と50歳代以上でともに6割以上であった.この判定基準の者は,生活習慣の改善や歯科医のアドバイスが必要であるとみなされる.それゆえ,従業員に対する事業所側からの口腔保健の働きかけが望まれる.2.「勤労者のストレス調査票」得点では,判定3基準別で過剰ストレス状態の者が20〜40歳代と50歳代以上でともに3割以上を占めていた.そして,ストレッサー体験の上位に仕事関連のものが多かった.3.「ストレス得点」の過剰ストレス群と過剰ストレス無群の間で「歯の健康づくり得点」に,20〜40歳代(p<0.05)と50歳代以上(p<0.01)でともに有意差がみられた.さらに,同様の結果が他文献からも認められたことから,口腔の健康に対するストレスの影響が強いことが示唆された.以上から,全身のストレス性疾患の予防とともに口腔の健康を維持増進するためにも,ストレス総量が過剰にならないように,労働に関連したストレッサー体験を減らして,労働の質量ともに調節していくことが求められる.
ISSN:0023-2831
2189-7379
DOI:10.5834/jdh.56.1_28