後方アプローチで手術を施行した大腿深動脈の分岐である貫通動脈瘤の1例

大腿深動脈瘤は全末梢動脈瘤の0.5%と報告されており稀な疾患である.今回われわれは更に稀な大腿深動脈の分枝である貫通動脈の動脈瘤を経験した.症例は81歳の女性で,右大腿後面の拍動性腫瘤と疼痛を認めていた.径50 mm,長さ110 mmの巨大な動脈瘤で破裂および塞栓症予防のため手術適応と考えた.解剖学的に前方アプローチでは瘤に到達することが困難で,腹臥位による後方アプローチで手術を施行した.瘤の中枢側の血流遮断が不確実になる可能性があるため,手術直前にPTA(Percutaneous Transluminal Angioplasty)バルーンカテーテルをdeflationした状態で大腿動脈内に留...

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published in日本血管外科学会雑誌 Vol. 27; no. 3; pp. 235 - 239
Main Authors 橋山, 直樹, 阿賀, 健一郎, 菅原, 海, 孟, 真, 益田, 宗孝
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 特定非営利活動法人 日本血管外科学会 21.06.2018
日本血管外科学会
Subjects
Online AccessGet full text

Cover

Loading…
More Information
Summary:大腿深動脈瘤は全末梢動脈瘤の0.5%と報告されており稀な疾患である.今回われわれは更に稀な大腿深動脈の分枝である貫通動脈の動脈瘤を経験した.症例は81歳の女性で,右大腿後面の拍動性腫瘤と疼痛を認めていた.径50 mm,長さ110 mmの巨大な動脈瘤で破裂および塞栓症予防のため手術適応と考えた.解剖学的に前方アプローチでは瘤に到達することが困難で,腹臥位による後方アプローチで手術を施行した.瘤の中枢側の血流遮断が不確実になる可能性があるため,手術直前にPTA(Percutaneous Transluminal Angioplasty)バルーンカテーテルをdeflationした状態で大腿動脈内に留置した.結果的には直視下で貫通動脈遮断が可能で,貫通動脈瘤の切除のみを施行した.術後疼痛は消失し血流障害を生じておらず良好な経過であった.
ISSN:0918-6778
1881-767X
DOI:10.11401/jsvs.18-00052