上顎側切歯におけるエンジン用器具による根管拡大形成の研究
「抄録」目的 : 単根管ではあるが根管形態が複雑な上顎側切歯に対し, エンジン用器具により根管の拡大形成を行い, 切削の様相の分析を目的に検討した. 材料と方法 : 上顎側切歯20歯を4群に分け, エンジン用器具としてニッケルチタン製のWaveOne SmallファイルとRECIPROC R25ファイル, ステンレススチール製のERTファイル, 対照として手用のステンレススチール製Kファイルを用い拡大形成を行った. 切削に要した作業時間の測定のほかに, 拡大形成前後のマイクロCT画像から根管壁面の切削率, 根管壁の切削量の算出, 根管切削部位の様相の分析を行った. さらに走査電子顕微鏡により根...
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Published in | 日本歯科保存学雑誌 Vol. 59; no. 1; pp. 74 - 84 |
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Main Authors | , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
日本歯科保存学会
2016
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Summary: | 「抄録」目的 : 単根管ではあるが根管形態が複雑な上顎側切歯に対し, エンジン用器具により根管の拡大形成を行い, 切削の様相の分析を目的に検討した. 材料と方法 : 上顎側切歯20歯を4群に分け, エンジン用器具としてニッケルチタン製のWaveOne SmallファイルとRECIPROC R25ファイル, ステンレススチール製のERTファイル, 対照として手用のステンレススチール製Kファイルを用い拡大形成を行った. 切削に要した作業時間の測定のほかに, 拡大形成前後のマイクロCT画像から根管壁面の切削率, 根管壁の切削量の算出, 根管切削部位の様相の分析を行った. さらに走査電子顕微鏡により根管壁面を観察した. 結果 : 作業時間は, WaveOneが34.3秒, RECIPROCが58.4秒, ERTファイルが250.0秒, 手用Kファイルが825.0秒を要した. 根管壁面の切削率はERTファイルが79.6%, RECIPROCが78.8%, WaveOneが78.4%, 手用Kファイルが58.1%で, 根管壁の切削量はERTファイルが2.7mm3, 手用Kファイルが2.5mm3, RECIPROCが2.3mm3, WaveOneが1.6mm3であった. なお, ニッケルチタン製器具では, 複雑な根管形態に器具が追従し, 局所的な壁面の過剰切削はみられなかった. 4種の器具すべてで, 根管の末端や根管壁の凹面に切削されない部位が残存したが, ニッケルチタン製器具では未切削部位に変性した歯髄と思われる残遺物が存在していた. なお, 4種の器具すべてで, 切削された根管壁面にスミヤー層が生じた. 結論 : ニッケルチタン製のWaveOneとRECIPROCでは短時間で拡大形成が行え, また, エンジン用器具では手用器具よりも高い切削率が得られるなど, 効率的に切削できることが認められた. しかし, 短時間で切削が終了するWaveOneとRECIPROCでは, 切削されない壁面の有機質層除去のため, 次亜塩素酸ナトリウム剤による溶解, 除去が必要であることが示された. |
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ISSN: | 0387-2343 |
DOI: | 10.11471/shikahozon.59.74 |