肺腺癌術後に緩徐に増大する単発の異時性オリゴ転移に対して外科的切除で長期生存を得た1例

肺腺癌の単発胸膜転移再発に対し,外科的切除により長期生存を得た1例を経験したため報告する。肺腺癌と診断され,左上葉切除術を実施された70歳代女性。pStage Ⅰ B に対して術後補助化学療法を行ったが,術後1年の胸部CTで術側の胸膜に単発の結節影を認めた。年単位で緩徐に増大し,術後4年の時点でCTガイド下生検を実施し,原発巣の転移と診断された。胸膜結節以外に再発を認めず,術後4年の経過で単発の胸膜転移のみであり,悪性胸水もないため,外科的切除を実施。病理所見は,肺腺癌の胸膜転移であった。その後,全身化学療法を施行したが,標的病変のない状態が持続していたため,患者の同意を得て4コースで化学療法...

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Published inJAPANESE JOURNAL OF HOSPITAL GENERAL MEDICINE Vol. 20; no. 5; pp. 257 - 263
Main Authors 河合, 桐男, 齋藤, 優雅, 前園, 知宏
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本病院総合診療医学会 2024
JAPAN SOCIETY OF HOSPITAL GENERAL MEDICINE
Subjects
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ISSN2185-8136
2758-7878
DOI10.60227/jhgmwabun.20.5_257

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Summary:肺腺癌の単発胸膜転移再発に対し,外科的切除により長期生存を得た1例を経験したため報告する。肺腺癌と診断され,左上葉切除術を実施された70歳代女性。pStage Ⅰ B に対して術後補助化学療法を行ったが,術後1年の胸部CTで術側の胸膜に単発の結節影を認めた。年単位で緩徐に増大し,術後4年の時点でCTガイド下生検を実施し,原発巣の転移と診断された。胸膜結節以外に再発を認めず,術後4年の経過で単発の胸膜転移のみであり,悪性胸水もないため,外科的切除を実施。病理所見は,肺腺癌の胸膜転移であった。その後,全身化学療法を施行したが,標的病変のない状態が持続していたため,患者の同意を得て4コースで化学療法を終了。現時点で,再手術後約3年の無再発生存中である。異時性オリゴ転移であっても転移巣が局所であれば,積極的な外科切除は予後の改善に有効である可能性がある。
ISSN:2185-8136
2758-7878
DOI:10.60227/jhgmwabun.20.5_257