線維筋性異形成が原因と考えられた両側腋窩動脈瘤の1例

腋窩動脈瘤は比較的稀な疾患である.その成因は反復性外傷や医原性,胸郭出口症候群やMarfan症候群などの全身疾患に伴うものなどが報告されているが,線維筋性異形成(Fibromuscular dysplasia; FMD)によるものは極めて稀である.症例は68歳の女性.発熱の原因精査のための造影CT検査にて右最大径40×長さ69 mm, 左最大径39×長さ67 mmの両側腋窩動脈瘤を指摘され当科紹介となった.全身麻酔下に両側鎖骨下アプローチで動脈瘤切除,両側ともに8 mm外部サポート付きニットダクロン人工血管(Gelsoft ERS)を用いて置換術を施行した.動脈瘤壁の病理組織学的検査では,動脈...

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Published in日本血管外科学会雑誌 Vol. 27; no. 3; pp. 209 - 212
Main Authors 斉藤, 貴明, 犬塚, 和徳, 佐野, 真規, 海野, 直樹, 山本, 尚人, 竹内, 裕也
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 特定非営利活動法人 日本血管外科学会 04.06.2018
日本血管外科学会
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Summary:腋窩動脈瘤は比較的稀な疾患である.その成因は反復性外傷や医原性,胸郭出口症候群やMarfan症候群などの全身疾患に伴うものなどが報告されているが,線維筋性異形成(Fibromuscular dysplasia; FMD)によるものは極めて稀である.症例は68歳の女性.発熱の原因精査のための造影CT検査にて右最大径40×長さ69 mm, 左最大径39×長さ67 mmの両側腋窩動脈瘤を指摘され当科紹介となった.全身麻酔下に両側鎖骨下アプローチで動脈瘤切除,両側ともに8 mm外部サポート付きニットダクロン人工血管(Gelsoft ERS)を用いて置換術を施行した.動脈瘤壁の病理組織学的検査では,動脈硬化や動脈炎の所見はなく,内膜の弾性線維は肥厚し,中膜の弾性線維は不規則かつ疎であり,また外膜は正常でFMDに矛盾しない所見であった.術後1年では,動脈瘤の再発なく,グラフトも開存している.
ISSN:0918-6778
1881-767X
DOI:10.11401/jsvs.17-00104