大腿神経麻痺による歩行障害を契機に診断された孤立性大腿深動脈瘤の1例

大腿深動脈瘤は稀な疾患であり,その発症様式は多様である.今回われわれは大腿神経圧迫による歩行障害を契機に診断された大腿深動脈瘤の1例を経験したので報告する.症例は80歳男性.約1カ月前から左下肢筋力低下を自覚し徐々に歩行困難となったため前医を受診した.左鼠径部腫瘤を認め,CTにて左大腿動脈瘤が疑われたため当院へ紹介となった.造影CTにて左大腿深動脈に最大径54 mmの瘤を認め,主訴は瘤による大腿神経圧迫症状と考えられた.手術の方針とし,人工血管置換術を施行した.術後大腿神経圧迫症状は改善し,独歩可能となり,術後9日で軽快退院した.高齢者において比較的頻度の高い歩行障害において,大腿深動脈瘤も鑑...

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Published inJapanese Journal of Vascular Surgery Vol. 26; no. 4; pp. 221 - 224
Main Authors 三井, 秀也, 田内, 祐也
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 特定非営利活動法人 日本血管外科学会 2017
日本血管外科学会
JAPANESE SOCIETY FOR VASCULAR SURGERY
Subjects
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ISSN0918-6778
1881-767X
DOI10.11401/jsvs.17-00040

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Summary:大腿深動脈瘤は稀な疾患であり,その発症様式は多様である.今回われわれは大腿神経圧迫による歩行障害を契機に診断された大腿深動脈瘤の1例を経験したので報告する.症例は80歳男性.約1カ月前から左下肢筋力低下を自覚し徐々に歩行困難となったため前医を受診した.左鼠径部腫瘤を認め,CTにて左大腿動脈瘤が疑われたため当院へ紹介となった.造影CTにて左大腿深動脈に最大径54 mmの瘤を認め,主訴は瘤による大腿神経圧迫症状と考えられた.手術の方針とし,人工血管置換術を施行した.術後大腿神経圧迫症状は改善し,独歩可能となり,術後9日で軽快退院した.高齢者において比較的頻度の高い歩行障害において,大腿深動脈瘤も鑑別疾患として挙げる必要性があると考えられた.
ISSN:0918-6778
1881-767X
DOI:10.11401/jsvs.17-00040