洗口吐出液中のアンモニア濃度および濁度を指標とした口腔清潔度検査について

本研究の目的は,口腔内を洗口した吐出液中の総細菌数と,アンモニア濃度または濁度との関連性を明らかにし,これらを指標とした簡易な口腔清潔度検査法を開発することである.被験者は,職域成人287名(平均年齢40.2±9.6歳)で,試料として3mlの蒸留水を口腔内に含み,10秒間軽くリンスした後の吐出液を用いた.吐出液中の総細菌数の測定は,Real-Time PCR法により,アンモニア濃度はアンモニア試験紙(アミチェック^)により,濁度は光電比色計(ANA-18A^+)を用いて660nmの吸光度より測定した.その結果,吐出液中の総細菌数はアンモニア濃度および濁度と高い相関性を示し,それぞれの相関係数は...

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Published in口腔衛生学会雑誌 Vol. 59; no. 2; pp. 93 - 100
Main Authors 森田, 十誉子, 小川, 洋子, 坂本, 久, 渋谷, 耕司, 森嶋, 清二, 石川, 正夫, 高田, 康二, 福田, 功, 山崎, 洋治, 芝, 紀代子
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 口腔衛生学会 2009
日本口腔衛生学会
Subjects
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ISSN0023-2831
2189-7379
DOI10.5834/jdh.59.2_93

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Summary:本研究の目的は,口腔内を洗口した吐出液中の総細菌数と,アンモニア濃度または濁度との関連性を明らかにし,これらを指標とした簡易な口腔清潔度検査法を開発することである.被験者は,職域成人287名(平均年齢40.2±9.6歳)で,試料として3mlの蒸留水を口腔内に含み,10秒間軽くリンスした後の吐出液を用いた.吐出液中の総細菌数の測定は,Real-Time PCR法により,アンモニア濃度はアンモニア試験紙(アミチェック^)により,濁度は光電比色計(ANA-18A^+)を用いて660nmの吸光度より測定した.その結果,吐出液中の総細菌数はアンモニア濃度および濁度と高い相関性を示し,それぞれの相関係数は,0.774,0.750であった.これらの結果から吐出液中のアンモニア濃度および濁度の測定は,口腔内の総細菌数の判定指標となり,口腔清潔度検査への応用の可能性が考えられた.また,吐出液中のアンモニア濃度および濁度は,総細菌数と同様,年代が高くなるに従い増加し,加齢による口腔清潔度の低下が示唆された.さらに,4mm以上の歯周ポケットを有する被験者の吐出液中アンモニア濃度および濁度は,歯周ポケットを有しない被験者に比べ有意に高かったことから,歯周病リスクの判定のための検査法としての可能性も示唆された.
ISSN:0023-2831
2189-7379
DOI:10.5834/jdh.59.2_93