右後脛骨動脈破裂の1 例
要旨:後脛骨動脈破裂の原因としては外傷や医原性,動脈硬化,感染などがある.若年者で外傷などの背景がない場合は遺伝性結合組織疾患を考慮する必要がある.今回,術前未確診の血管型Ehlers-Danlos症候群による右後脛骨動脈破裂を経験した.症例は38 歳女性.右下肢腫脹のために当院紹介となった.造影CT にて右後脛骨動脈の破裂と診断した.当初は血管内治療にて加療を行う予定で血管造影を行ったが,破裂部位の大きさなどからカテーテルによる治療は困難と判断し,外科的に血管結紮術を施行した.術後に動脈破裂の原因検索を行ったが,遺伝性結合組織疾患が疑われたために遺伝子診断まで施行したところ,COL3A1 遺...
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Published in | Japanese Journal of Vascular Surgery Vol. 25; pp. 43 - 46 |
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Main Authors | , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
特定非営利活動法人 日本血管外科学会
2016
日本血管外科学会 JAPANESE SOCIETY FOR VASCULAR SURGERY |
Subjects | |
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ISSN | 0918-6778 1881-767X |
DOI | 10.11401/jsvs.15-00090 |
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Summary: | 要旨:後脛骨動脈破裂の原因としては外傷や医原性,動脈硬化,感染などがある.若年者で外傷などの背景がない場合は遺伝性結合組織疾患を考慮する必要がある.今回,術前未確診の血管型Ehlers-Danlos症候群による右後脛骨動脈破裂を経験した.症例は38 歳女性.右下肢腫脹のために当院紹介となった.造影CT にて右後脛骨動脈の破裂と診断した.当初は血管内治療にて加療を行う予定で血管造影を行ったが,破裂部位の大きさなどからカテーテルによる治療は困難と判断し,外科的に血管結紮術を施行した.術後に動脈破裂の原因検索を行ったが,遺伝性結合組織疾患が疑われたために遺伝子診断まで施行したところ,COL3A1 遺伝子の変異を認め,血管型Ehlers-Danlos 症候群と診断した.血管型Ehlers-Danlos 症候群の場合その血管脆弱性から外科手術は危険性が高く可能な限り血管内治療を優先させることが望ましい.動脈硬化や外傷,感染などが否定的な末梢動脈破裂では遺伝性結合組織疾患を考慮しておく必要がある. |
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ISSN: | 0918-6778 1881-767X |
DOI: | 10.11401/jsvs.15-00090 |