膵炎を契機に発見された上行大動脈内浮遊血栓の1例

症例は49歳,男性.慢性膵炎の急性増悪にて入院した際のCTにて上行大動脈壁に付着する腫瘤を認め,当科紹介となった.多発脳梗塞も発症しており,さらなる塞栓症のリスクが高いと判断し準緊急で手術の方針とした.上行大動脈を切開すると大動脈前壁に付着する20 mm大の赤色血栓を認め,容易に剝離可能であった.大動脈壁に肉眼上軽度の動脈硬化所見を認めた.病理学的にも血栓組織の診断であった.上行大動脈内の血栓は非常にまれであり,治療法についても一定の見解は得られていないが,塞栓症のリスクを考慮して早期の摘出術を施行し良好な結果が得られた....

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Published in日本血管外科学会雑誌 Vol. 27; no. 2; pp. 95 - 98
Main Authors 嵯峨根, 正展, 杵渕, 聡志, 遠藤, 仁, 古川, 浩, 土居, 正知, 小林, 俊也
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 特定非営利活動法人 日本血管外科学会 2018
日本血管外科学会
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Summary:症例は49歳,男性.慢性膵炎の急性増悪にて入院した際のCTにて上行大動脈壁に付着する腫瘤を認め,当科紹介となった.多発脳梗塞も発症しており,さらなる塞栓症のリスクが高いと判断し準緊急で手術の方針とした.上行大動脈を切開すると大動脈前壁に付着する20 mm大の赤色血栓を認め,容易に剝離可能であった.大動脈壁に肉眼上軽度の動脈硬化所見を認めた.病理学的にも血栓組織の診断であった.上行大動脈内の血栓は非常にまれであり,治療法についても一定の見解は得られていないが,塞栓症のリスクを考慮して早期の摘出術を施行し良好な結果が得られた.
ISSN:0918-6778
1881-767X
DOI:10.11401/jsvs.18-00002