CTガイド下ドレナージが奏効した腹部大動脈人工血管感染の1例

腹部大動脈人工血管感染は致死的な合併症である.治療は感染人工血管摘出術が推奨されるが,侵襲が大きい.症例は65歳男性,2カ月前に両側総腸骨動脈瘤,腹部大動脈瘤に対し開腹人工血管置換術を施行した.発熱を主訴に当院受診,炎症反応上昇と造影CTで人工血管周囲の液体貯留と周囲脂肪織濃度上昇を認め,人工血管感染と診断し,抗生物質投与を開始した.入院5日目のCTで液体貯留の拡大を認め,CTガイド下で同部位を穿刺し,乳白色の膿汁を認め,ドレーン留置した.ドレナージ翌日から解熱,穿刺後7日目にドレーンを抜去した.排出された膿からはMSSAが検出された.抗生剤を内服へ切り替え,入院38日目に退院した.退院後10...

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Published inJapanese Journal of Vascular Surgery Vol. 27; no. 5; pp. 373 - 376
Main Authors 田畑, 光紀, 佐伯, 悟三, 佐藤, 誠洋
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 特定非営利活動法人 日本血管外科学会 02.10.2018
日本血管外科学会
JAPANESE SOCIETY FOR VASCULAR SURGERY
Subjects
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ISSN0918-6778
1881-767X
DOI10.11401/jsvs.18-00066

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Summary:腹部大動脈人工血管感染は致死的な合併症である.治療は感染人工血管摘出術が推奨されるが,侵襲が大きい.症例は65歳男性,2カ月前に両側総腸骨動脈瘤,腹部大動脈瘤に対し開腹人工血管置換術を施行した.発熱を主訴に当院受診,炎症反応上昇と造影CTで人工血管周囲の液体貯留と周囲脂肪織濃度上昇を認め,人工血管感染と診断し,抗生物質投与を開始した.入院5日目のCTで液体貯留の拡大を認め,CTガイド下で同部位を穿刺し,乳白色の膿汁を認め,ドレーン留置した.ドレナージ翌日から解熱,穿刺後7日目にドレーンを抜去した.排出された膿からはMSSAが検出された.抗生剤を内服へ切り替え,入院38日目に退院した.退院後10カ月が経過したが,再燃は認めていない.人工血管感染に対するCTガイド下ドレナージは原因菌の特定と治療を兼ね備えた低侵襲な手技であり,腹部大動脈人工血管感染の治療戦略として考慮すべき手技である.
ISSN:0918-6778
1881-767X
DOI:10.11401/jsvs.18-00066