東広島市における『親子歯科健診』事業 : 受診率および母親の歯周状態の推移

広島県東広島市においては,平成5年度より1歳6か月児健康診査時に母親の歯周健診と刷掃指導を同時並行的に行う『親子歯科健診』事業を実施している.本事業の開始当初は,母親の歯周健診を行うと,差恥心などから,母親が健診を回避し,乳幼児健診そのものの受診率が低下するのではないかという意見があった.そのため,今回の調査では,1歳6か月児健康診査に付随した形で母親の歯周健診を行うと,乳幼児健診自体の受診率に影響するかどうかを長期の観察によって検証した.その結果,『親子歯科健診』事業を開始しても,1歳6か月児健診の受診率は開始する以前と変わらず,90%強を維持することがわかった.しかも,健診の流れを変え,徐...

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Published in口腔衛生学会雑誌 Vol. 56; no. 3; pp. 289 - 294
Main Authors 笹原, 妃佐子, 佐藤, 美穂子, 河村, 誠, 大谷, 裕幸, 藤井, 春男
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 口腔衛生学会 2006
日本口腔衛生学会
Subjects
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ISSN0023-2831
2189-7379
DOI10.5834/jdh.56.3_289

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Summary:広島県東広島市においては,平成5年度より1歳6か月児健康診査時に母親の歯周健診と刷掃指導を同時並行的に行う『親子歯科健診』事業を実施している.本事業の開始当初は,母親の歯周健診を行うと,差恥心などから,母親が健診を回避し,乳幼児健診そのものの受診率が低下するのではないかという意見があった.そのため,今回の調査では,1歳6か月児健康診査に付随した形で母親の歯周健診を行うと,乳幼児健診自体の受診率に影響するかどうかを長期の観察によって検証した.その結果,『親子歯科健診』事業を開始しても,1歳6か月児健診の受診率は開始する以前と変わらず,90%強を維持することがわかった.しかも,健診の流れを変え,徐々に強度を増して受診への誘導を行ったところ,母親の歯周健診受診率は経年的に増加し,最終的には同伴してきた母親のほぼすべてが受診するようになった.そのため,乳幼児健診時に母親の歯周健診と刷掃指導を行うという『親子歯科健診』事業は,母親と子ともに高い受診率を確保できる有効な歯科健診事業であると考察された.また,母親の歯周状態の評価については,初年度は口腔評価指標(ORI)の開発者が行い,講習会などを実施しながら,検者(評価者)の数を増やし,現在では地区歯科医師会会員すべてが交代で行えるまでになっている.
ISSN:0023-2831
2189-7379
DOI:10.5834/jdh.56.3_289