胎生期低栄養児の肥満発症における出生後のレプチン動態の関与

「背景」近年疫学的調査から, 胎生期低栄養による子宮内発育遅延が出生後に急速に体重増加を来すcatch up growthを経て, 成人後の肥満など生活習慣病のリスク因子となること, 最終的に心血管障害による死亡率が上昇することが報告され, いわゆるdevelopmental origins of health and diseasesという概念が提唱されている1, 2). このような胎生期発育障害に起因する生活習慣病の予防に向けて, 生活習慣の改善のみでなく, 新たな胎児新生児の管理指針が求められているが, その病態や発症機序はほとんど解明されていない3, 4). 一方, レプチンは脂肪細胞...

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Published in日本未病システム学会雑誌 Vol. 12; no. 1; pp. 145 - 147
Main Authors 益崎, 裕章, 伊東, 宏晃, 小川, 佳宏, 藤井, 信吾, 佐川, 典正, 最上, 晴太, 由良, 茂夫, 中尾, 一和, 川村, 真
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本未病システム学会 2006
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ISSN1347-5541
2185-2162
DOI10.11288/mibyou1998.12.145

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Summary:「背景」近年疫学的調査から, 胎生期低栄養による子宮内発育遅延が出生後に急速に体重増加を来すcatch up growthを経て, 成人後の肥満など生活習慣病のリスク因子となること, 最終的に心血管障害による死亡率が上昇することが報告され, いわゆるdevelopmental origins of health and diseasesという概念が提唱されている1, 2). このような胎生期発育障害に起因する生活習慣病の予防に向けて, 生活習慣の改善のみでなく, 新たな胎児新生児の管理指針が求められているが, その病態や発症機序はほとんど解明されていない3, 4). 一方, レプチンは脂肪細胞から産生され, 視床下部を介して抗肥満作用を有するホルモンである. 肥満者や肥満マウスでは, 脂肪組織重量の増大に相関して血中レプチン濃度の増加を認めるため, レプチンによる体重減少作用が十分には発揮されない, いわゆるレプチン抵抗性が肥満の病態の1つと考えられている5-7). 胎生期低栄養児では, 子宮内環境の悪化に適応するために出生前からエネルギー代謝系が変化している8, 9).
ISSN:1347-5541
2185-2162
DOI:10.11288/mibyou1998.12.145