アルコール刺激に対する注意バイアスの低減操作が衝動的行動に及ぼす影響――飲酒行動の機能の差異を考慮した検討

「問題と目的」世界保健機構 (World Health Organization : 以下, WHOとする) の2018年報告 (WHO, 2018) によると, 多量飲酒は, アルコール使用障害 (Alcohol use disorder : 以下, AUDとする) に加え, がんや肝疾患等の深刻な身体疾患へ発展させることが示されている. このように, 多量飲酒は個人の生活に支障を生じさせ, さらには死亡リスクを高める可能性があることを踏まえると, 心理療法を含めて, 多量飲酒に対する適切な治療の確立が課題であると言える. これまでの多量飲酒を呈する者に対する心理療法の1つとしては, 個人に...

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Published inJournal of Health Psychology Research Vol. 33; no. 2; pp. 115 - 124
Main Authors 竹澤, 緑, 田中, 佑樹, 浅見, 祐香, 野村, 和孝, 嶋田, 洋徳
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本健康心理学会 15.03.2021
日本健康心理学会
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Summary:「問題と目的」世界保健機構 (World Health Organization : 以下, WHOとする) の2018年報告 (WHO, 2018) によると, 多量飲酒は, アルコール使用障害 (Alcohol use disorder : 以下, AUDとする) に加え, がんや肝疾患等の深刻な身体疾患へ発展させることが示されている. このように, 多量飲酒は個人の生活に支障を生じさせ, さらには死亡リスクを高める可能性があることを踏まえると, 心理療法を含めて, 多量飲酒に対する適切な治療の確立が課題であると言える. これまでの多量飲酒を呈する者に対する心理療法の1つとしては, 個人にとっての飲酒行動の再発に至りやすいリスク状況下 (アルコールが目の前にあるなど) において, 飲酒以外の行動を自己統制的に選択できるようにすること, すなわち「セルフ・コントロール」を主たる目標とした治療が行われてきた.
ISSN:2189-8790
2189-8804
DOI:10.11560/jhpr.191213135