健診例におけるNonalcoholic Fatty Liver Diseaseと血清 γ-glutamyltransferaseの関係について
目的:γ-glutamyltransferase(GGT)はアルコール性肝障害,胆道系疾患の評価において有用とされてきたが,疫学の分野では肥満とGGTの密接な関係も指摘されていた.近年ではGGT上昇が心血管死の危険因子となることが報告されている.一方でnonalcoholic fatty liver disease(NAFLD)は冠動脈疾患の発生に関連していることが知られている.そこで今回は健診において超音波検査で診断されたNAFLDとGGTの関係について検討した. 対象と方法:当院の2009年度の健診者17,069名より無作為に1,000名を抽出した.用いた超音波装置は東芝のXarioTM...
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Published in | 人間ドック Vol. 27; no. 5; pp. 837 - 842 |
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Main Authors | , , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
公益社団法人 日本人間ドック学会
2013
日本人間ドック学会 |
Subjects | |
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ISSN | 1880-1021 2186-5027 |
DOI | 10.11320/ningendock.27.837 |
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Summary: | 目的:γ-glutamyltransferase(GGT)はアルコール性肝障害,胆道系疾患の評価において有用とされてきたが,疫学の分野では肥満とGGTの密接な関係も指摘されていた.近年ではGGT上昇が心血管死の危険因子となることが報告されている.一方でnonalcoholic fatty liver disease(NAFLD)は冠動脈疾患の発生に関連していることが知られている.そこで今回は健診において超音波検査で診断されたNAFLDとGGTの関係について検討した. 対象と方法:当院の2009年度の健診者17,069名より無作為に1,000名を抽出した.用いた超音波装置は東芝のXarioTM XGで,5名の検査技師が撮影した静止画像を1人の超音波専門医が最終的に判定した.脂肪肝の超音波診断は我々の基準に従った. 結果:NAFLDにおいては脂肪化の程度が増すとGGTも有意に高値を示し,かつGGT値はALT値とr = 0.562(p<0.001)とよい相関を示した.NAFLDの76.8%はGGT正常範囲(GGT≦50 IU/L)であったが両者の相関はGGT正常範囲内までも及んでいた.また原因不明のGGT単独上昇例(ALT≦30 IU/L)が1.4%に認められた. 結論:健診例においてもNAFLDとGGTは密接に関係し,かつ両者の相関はGGT正常範囲内までも及んでいた.また未知のGGT上昇機序が存在することが推定された. |
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ISSN: | 1880-1021 2186-5027 |
DOI: | 10.11320/ningendock.27.837 |