左室緻密化障害の心エコー所見を呈し薬剤抵抗性心室頻拍から死にいたった拡張型心筋症の1剖検例

症例は60歳男性. 2009年3月, 慢性腎臓病で維持透析中に持続性心室頻拍と心不全を発症. 某総合病院入院にて冠動脈に有意狭窄なく, 低左心機能から拡張型心筋症と診断, 除細動機能付き両室ペーシングが留置され外来経過観察となった. 2011年5月, 透析中再び心室頻拍が出現, 薬剤抵抗性の心室頻拍であり頻回に除細動機能が作動し加療目的に当院へ紹介入院. 心電図所見は心拍数150bpmの心室頻拍で右脚ブロック型, 上方軸, 移行帯はV1, V2, 左室心尖部後下壁起源と推測された. 心臓超音波検査は, びまん性の壁運動低下を認め, 左室駆出率は18%, 左室内に肉柱の発達を認め, 左室緻密化障...

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Published in心臓 Vol. 46; no. 11; pp. 1505 - 1510
Main Authors 山田, 麻里可, 原田, 智雄, 副島, 京子, 髙木, 泰, 高野, 誠, 中野, 恵美, 滝村, 由香子, 松田, 央郎, 水野, 幸一, 鈴木, 健吾, 明石, 嘉浩
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益財団法人 日本心臓財団 2014
日本心臓財団・日本循環器学会
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Summary:症例は60歳男性. 2009年3月, 慢性腎臓病で維持透析中に持続性心室頻拍と心不全を発症. 某総合病院入院にて冠動脈に有意狭窄なく, 低左心機能から拡張型心筋症と診断, 除細動機能付き両室ペーシングが留置され外来経過観察となった. 2011年5月, 透析中再び心室頻拍が出現, 薬剤抵抗性の心室頻拍であり頻回に除細動機能が作動し加療目的に当院へ紹介入院. 心電図所見は心拍数150bpmの心室頻拍で右脚ブロック型, 上方軸, 移行帯はV1, V2, 左室心尖部後下壁起源と推測された. 心臓超音波検査は, びまん性の壁運動低下を認め, 左室駆出率は18%, 左室内に肉柱の発達を認め, 左室緻密化障害を疑う所見であった. アミオダロン点滴と電解質補正を行いカテーテルアブレーションによる根治治療の方針とした. 第8病日突然呼吸状態が悪化, 血行動態の破綻, 心肺蘇生に反応せず, 死亡にいたった. 剖検所見では左室内腔の拡大, 著しい肉柱層, 左心室の内層, 中層, 外層および右心室に広汎かつat randomに, 斑状, 巣状, reticularな線維症を認め, 特に左室後壁では, 内層から外層にわたる著しい線維化を認めた. 剖検の結果, 本疾患は左室緻密化障害の所見を呈した拡張型心筋症と考えられた. 左室緻密化障害は明確な診断基準が定まっていない稀な先天性疾患である. 今回緻密化障害の心エコー所見を呈し薬剤抵抗性心室頻拍から死にいたった拡張型心筋症の1剖検例を経験, 考察を加え報告する.
ISSN:0586-4488
2186-3016
DOI:10.11281/shinzo.46.1505