長期間腰痛に悩まされた中年男性の1症例

1. はじめに 高齢者における腰痛の原因には多くのものが存在する. 時に悪性の場合もあり, その検査のタイミングは難しい. 今回われわれは, 画像上, 多発転移性骨腫瘍を疑いつつも6年間の長期観察を行い, その結果, 良性疾患であった例を経験した. これも未病の時期の症例と考えられるので, ここに報告する. 2. 症例呈示 症例:69歳, 男性. 主訴:腰痛. 既往歴:48歳以降, 糖尿病. 生活歴:飲酒歴:日本酒3~4合/日(20歳以降), 喫煙歴:7~8本/日(20~60歳). 現病歴:1996年7月, 腰部にしびれるような痛みを自覚し始めた. 1996年9月, 症状に改善がみられなかった...

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Published in日本未病システム学会雑誌 Vol. 10; no. 1; pp. 168 - 170
Main Authors 下門, 顕太郎, 梅田, 尚季, 浅野, 哲一, 川上, 明夫, 藍, 真澄, 吉田, 雅幸, 由井, 克昌, 金子, 英司, 中山, 徹
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本未病システム学会 2004
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ISSN1347-5541
2185-2162
DOI10.11288/mibyou1998.10.168

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Summary:1. はじめに 高齢者における腰痛の原因には多くのものが存在する. 時に悪性の場合もあり, その検査のタイミングは難しい. 今回われわれは, 画像上, 多発転移性骨腫瘍を疑いつつも6年間の長期観察を行い, その結果, 良性疾患であった例を経験した. これも未病の時期の症例と考えられるので, ここに報告する. 2. 症例呈示 症例:69歳, 男性. 主訴:腰痛. 既往歴:48歳以降, 糖尿病. 生活歴:飲酒歴:日本酒3~4合/日(20歳以降), 喫煙歴:7~8本/日(20~60歳). 現病歴:1996年7月, 腰部にしびれるような痛みを自覚し始めた. 1996年9月, 症状に改善がみられなかったため, K病院を受診し精査されたが, 原因は不明であった. 1997年2月, 精査加療目的にて当院を紹介受診した. 身体所見:身長168.0cm, 体重58kg, 体温36.7℃, 脈拍72bpm整, 血圧130/75mmHg, 意識清明, 頭部:顔面;浮腫(-), 結膜;貧血(+)黄疸(-), 頸部:甲状腺腫(-), 血管雑音(-), 表在リンパ節;触知せず, 胸部:心音;S1→S2→S3(-), S4(-), 心雑音なし, 呼吸音;正常, ラ音なし, 腹部:平坦軟圧痛なし, 筋性防御なし, 反跳痛なし, 腫瘤なし, グル音;正常, 肝腎脾;触知せず, 背部:L1, L2レベルの正中に軽度の叩打痛あり, 四肢:浮腫(-), ばち指(-), チアノーゼ(-).
ISSN:1347-5541
2185-2162
DOI:10.11288/mibyou1998.10.168