慢性肺血栓塞栓症による肺高血圧症に対するボセンタンの長期的有効性
症例は79歳,女性.77歳時に慢性肺血栓塞栓症と診断し,ベラプロスト120µg/日とワルファリンが投与された.しかし,内服薬の自己中断後に心不全が増悪し再入院となった.入院時,NT-proBNP 5,438pg/mL,三尖弁逆流圧較差(TRPG) 63mmHg,肺高血圧機能分類class IV度,肺血管抵抗1,003dyne・秒・cm−5であった.ベラプロストとワルファリンを再開したが,NT-proBNP 2,482pg/mL,TRPG 58mmHgと肺高血圧改善効果が不十分であると判断した.ボセンタンを併用した結果,7カ月後にはNT-proBNPは943pg/mLへ,TRPGは39mmHgへ...
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Published in | Shinzo Vol. 42; no. 6; pp. 789 - 796 |
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Main Authors | , , , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
公益財団法人 日本心臓財団
2010
日本心臓財団 Japan Heart Foundation |
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ISSN | 0586-4488 2186-3016 |
DOI | 10.11281/shinzo.42.789 |
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Summary: | 症例は79歳,女性.77歳時に慢性肺血栓塞栓症と診断し,ベラプロスト120µg/日とワルファリンが投与された.しかし,内服薬の自己中断後に心不全が増悪し再入院となった.入院時,NT-proBNP 5,438pg/mL,三尖弁逆流圧較差(TRPG) 63mmHg,肺高血圧機能分類class IV度,肺血管抵抗1,003dyne・秒・cm−5であった.ベラプロストとワルファリンを再開したが,NT-proBNP 2,482pg/mL,TRPG 58mmHgと肺高血圧改善効果が不十分であると判断した.ボセンタンを併用した結果,7カ月後にはNT-proBNPは943pg/mLへ,TRPGは39mmHgへ低下し,肺高血圧機能分類class II度まで改善した.本邦において,慢性肺血栓塞栓性肺高血圧症に対してエンドセリン受容体拮抗薬であるボセンタンの臨床的有効性を示した報告は少ない.慢性肺血栓塞栓症による肺高血圧症に対してボセンタンが新たな選択肢となる可能性がある. |
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ISSN: | 0586-4488 2186-3016 |
DOI: | 10.11281/shinzo.42.789 |