運動負荷後片側下肢虚血を呈したB型大動脈解離症例に対するステントグラフト (TEVAR) による1治験例

症例は背部から腰部への疼痛で救急搬送され急性B型大動脈解離の診断で入院した53歳男性. 臓器虚血や切迫破裂の所見を認めないため合併症のない急性B型大動脈解離として厳重な血圧管理行った. リハビリテーションスケジュールに従い歩行開始し, 100m歩行となった第17病日, 左下肢の疼痛を訴え歩行不能となった. ABIを運動前後で測定したところ運動後左下肢は1.01から0.34と著明に低下しており, 左下肢の血流障害があると診断した. 血流障害の機序として運動後の血圧上昇で胸部のエントリーより偽腔への血流が増加し真腔狭窄となるDynamic typeの閉塞と診断した. 第44病日目に胸部のエントリー...

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Published inShinzo Vol. 46; no. 12; pp. 1594 - 1599
Main Authors 井村, 真里, 三好, 麻衣子, 北條, 禎久
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益財団法人 日本心臓財団 2014
日本心臓財団・日本循環器学会
Japan Heart Foundation
Subjects
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ISSN0586-4488
2186-3016
DOI10.11281/shinzo.46.1594

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Summary:症例は背部から腰部への疼痛で救急搬送され急性B型大動脈解離の診断で入院した53歳男性. 臓器虚血や切迫破裂の所見を認めないため合併症のない急性B型大動脈解離として厳重な血圧管理行った. リハビリテーションスケジュールに従い歩行開始し, 100m歩行となった第17病日, 左下肢の疼痛を訴え歩行不能となった. ABIを運動前後で測定したところ運動後左下肢は1.01から0.34と著明に低下しており, 左下肢の血流障害があると診断した. 血流障害の機序として運動後の血圧上昇で胸部のエントリーより偽腔への血流が増加し真腔狭窄となるDynamic typeの閉塞と診断した. 第44病日目に胸部のエントリー閉鎖をステントグラフト治療で行い運動後の虚血症状は消失した. 運動後に下肢虚血症状を呈した急性B型大動脈解離の治療報告例はなく稀な症例と考えられたので報告した. また, 下肢虚血の早期診断と病態把握に運動負荷ABI検査は有用であった.
ISSN:0586-4488
2186-3016
DOI:10.11281/shinzo.46.1594