8〜10年間のメインテナンス患者における歯の喪失状況と喪失に関連する要因

岡山大学病院予防歯科診療室では,歯の喪失を防止するために,口腔内の継続管理を行っている.しかし,メインテナンス中でも歯が喪失されており,何らかの対策が必要である.本研究では,初診から2年以降のメインテナンス中における歯の喪失状況を後ろ向きに調査し,喪失原因や喪失にかかわる因子を検討した.岡山大学病院予防歯科を8〜10年継続的に受診した全患者106名(男性33名,女性73名)を対象とした.診療録により,受診2年以降の歯の喪失原因,全身疾患の有無,喫煙の有無を調査した.歯の喪失の原因は,エックス線写真や主治医の記憶も考慮した.初診時,初診から2年時点,および調査時点の現在歯と歯周組織の状況および歯...

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Published in口腔衛生学会雑誌 Vol. 57; no. 5; pp. 632 - 639
Main Authors 村上, 千春, 山本, 龍生, 恒石, 美登里, 渡邊, 達夫
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 口腔衛生学会 2007
日本口腔衛生学会
Subjects
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ISSN0023-2831
2189-7379
DOI10.5834/jdh.57.5_632

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Summary:岡山大学病院予防歯科診療室では,歯の喪失を防止するために,口腔内の継続管理を行っている.しかし,メインテナンス中でも歯が喪失されており,何らかの対策が必要である.本研究では,初診から2年以降のメインテナンス中における歯の喪失状況を後ろ向きに調査し,喪失原因や喪失にかかわる因子を検討した.岡山大学病院予防歯科を8〜10年継続的に受診した全患者106名(男性33名,女性73名)を対象とした.診療録により,受診2年以降の歯の喪失原因,全身疾患の有無,喫煙の有無を調査した.歯の喪失の原因は,エックス線写真や主治医の記憶も考慮した.初診時,初診から2年時点,および調査時点の現在歯と歯周組織の状況および歯垢指数を記録した.初診時の年齢は65.1±11.8歳であった.50名が初診から2年以降に歯を喪失し,喪失経験者は年齢の高い者に多かった.対象者の総喪失歯は103本で,歯種では上顎第二大臼歯が最も多かった.喪失原因としては歯周病が最も多く,次いで自然脱落,破折の順であった.歯の喪失経験者は未経験者に比較して,年齢が高く,高血圧症罹患者の割合が高く,初診時の現在歯数が少なく,重度の慢性歯周炎罹患者が多かった.これらの結果から,メインテナンス中における歯の喪失防止には,重度の歯周炎患者に対する歯周病の再発に注意する必要があることが明らかになった.
ISSN:0023-2831
2189-7379
DOI:10.5834/jdh.57.5_632