女子中高生の顎関節自覚症状の実態と学校を基盤とした定期的口腔保健指導の効果 : 学校歯科医の立場から

本研究の目的は,女子中高生における顎関節自覚症状保有者の実態を横断調査で明らかにするとともに,学校現場における定期的個別指導の有効性を縦断調査で検証することを目的とした.顎関節自覚症状に関するアンケートは,HelkimoのAiindexに基づいた7項目について毎年4月に実施した.横断調査の対象者は平成9年度の中学1年生から高校3年生までの1,447名,縦断調査では顎関節症自覚症状アンケートが中高6年間ある生徒268名(介入群),高校から入学しアンケートが3年間ある生徒960名(対照群)の合計1,228名を対象とした.介入群においては,自覚症状を有する中学生に対して個別保健指導を年3回中学校期に...

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Published in口腔衛生学会雑誌 Vol. 56; no. 1; pp. 52 - 62
Main Authors 松尾, 敏信, 川崎, 浩二, 飯島, 洋一
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 口腔衛生学会 01.01.2006
日本口腔衛生学会
Subjects
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ISSN0023-2831
2189-7379
DOI10.5834/jdh.56.1_52

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Summary:本研究の目的は,女子中高生における顎関節自覚症状保有者の実態を横断調査で明らかにするとともに,学校現場における定期的個別指導の有効性を縦断調査で検証することを目的とした.顎関節自覚症状に関するアンケートは,HelkimoのAiindexに基づいた7項目について毎年4月に実施した.横断調査の対象者は平成9年度の中学1年生から高校3年生までの1,447名,縦断調査では顎関節症自覚症状アンケートが中高6年間ある生徒268名(介入群),高校から入学しアンケートが3年間ある生徒960名(対照群)の合計1,228名を対象とした.介入群においては,自覚症状を有する中学生に対して個別保健指導を年3回中学校期に行った.自覚症状を有する生徒の割合は全体では経年的に増加したが,自覚症状保有者の一人平均症状数は高校1年まで減少した.中高6年間に顎関節自覚症状が発症した生徒のうち,約7割が中学校期に集中していた.高校1年における顎関節症状保有者率は,介入群(15.3%)が対照群(22.6%)よりも有意に低かった(x^2検定:p=0.010).しかし,高校3年では2群間に有意差は認められなかった.これらの結果から,顎関節自覚症状を有する中学生への早期介入の有効性が明らかとなった.また,自覚症状のない中高生すべてを対象とした保健教育・保健指導体制の構築の必要性が示唆された.
ISSN:0023-2831
2189-7379
DOI:10.5834/jdh.56.1_52