高齢者の現在歯数と歯科医療費の関連 : 市町村別データによる検討
「高齢者の1人平均現在歯数の多い市町村で1人あたり歯科医療費が高い.その理由は高齢者の歯科受診率が高いためである」という仮説を立てて, 地域相関研究により検証することを目的とした.静岡県内62市町村の市町村国民健康保険1999年5月歯科診療分における市町村別高齢者1人あたり歯科医療費を目的変数に, 高齢者1人平均現在歯数・人口10万あたり歯科医師数・人口密度・老年人口割合・第一次産業就業者割合・第三次産業就業者割合・1人あたり市町村税額を説明変数に, 65歳以上の被保険者数を重みづけ変数にして重回帰分析ステップワイズ法を行った.その結果, 高齢者1人平均現在歯数はほかの地域特性を示す変数を調整...
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Published in | 口腔衛生学会雑誌 Vol. 55; no. 1; pp. 32 - 40 |
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Main Authors | , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
一般社団法人 口腔衛生学会
01.01.2005
日本口腔衛生学会 |
Subjects | |
Online Access | Get full text |
ISSN | 0023-2831 2189-7379 |
DOI | 10.5834/jdh.55.1_32 |
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Summary: | 「高齢者の1人平均現在歯数の多い市町村で1人あたり歯科医療費が高い.その理由は高齢者の歯科受診率が高いためである」という仮説を立てて, 地域相関研究により検証することを目的とした.静岡県内62市町村の市町村国民健康保険1999年5月歯科診療分における市町村別高齢者1人あたり歯科医療費を目的変数に, 高齢者1人平均現在歯数・人口10万あたり歯科医師数・人口密度・老年人口割合・第一次産業就業者割合・第三次産業就業者割合・1人あたり市町村税額を説明変数に, 65歳以上の被保険者数を重みづけ変数にして重回帰分析ステップワイズ法を行った.その結果, 高齢者1人平均現在歯数はほかの地域特性を示す変数を調整しても統計学的に有意(p<0.01)であったので, 1人平均現在歯数の多い市町村で1人あたり歯科医療費の高いことが認められた.次に, 市町村別高齢者の, 1人あたり歯科医療費は, 歯科受診率・診療報酬明細書1件あたり診療日数・診療1日あたり歯科医療費の影響を受け, 歯科受診率・診療報酬明細書1件あたり診療日数・診療1日あたり歯科医療費のそれぞれは人口密度と1人平均現在歯数の影響を受ける, という前提で作成したモデルに従ってパス解析を行った.その結果, 高齢者1人平均現在歯数の多い市町村で, 高齢者の歯科受診率が高く, 高齢者1人あたり歯科医療費の高いことが認められた.よって, 冒頭に掲げた仮説を検証することができた. |
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ISSN: | 0023-2831 2189-7379 |
DOI: | 10.5834/jdh.55.1_32 |