心肺運動負荷試験 (CPET) 中の運動時周期性呼吸 (EOV) によるチェーン・ストークス呼吸 (CSR) 検出の妥当性

背景 : 心肺運動負荷試験 (CPET ; cardiopulmonary exercise test) は運動耐容能評価に使用され, 重症心不全患者では運動時周期性呼吸性変動 (EOV ; Exercise oscillatory ventilation) が認められる. 心不全患者におけるチェーン・ストークス呼吸 (CSR ; Cheyne-Stokes Respiration) の存在も同様に予後不良因子として知られているが, 全症例にPSGを施行するには時間, 費用がかかり, 容易ではない. EOVとCSRの両者には換気ドライブの亢進および過呼吸, 化学受容体反射亢進等の共通の機序が関...

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Published inShinzo Vol. 46; no. 11; pp. 1538 - 1542
Main Authors 松岡, 裕樹, 津端, 英雄, 寺西, 仁, 大石, 醒悟, 横井, 公宣, 谷口, 泰代, 千村, 美里, 青木, 恒介, 岡嶋, 克則, 鳥羽, 敬義, 月城, 泰栄, 嶋根, 章, 木内, 邦彦, 川合, 宏哉, 澤田, 隆弘, 大西, 哲存, 宮田, 大嗣, 小林, 征一, 山田, 愼一郎, 矢坂, 義則
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益財団法人 日本心臓財団 2014
日本心臓財団・日本循環器学会
Japan Heart Foundation
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ISSN0586-4488
2186-3016
DOI10.11281/shinzo.46.1538

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Summary:背景 : 心肺運動負荷試験 (CPET ; cardiopulmonary exercise test) は運動耐容能評価に使用され, 重症心不全患者では運動時周期性呼吸性変動 (EOV ; Exercise oscillatory ventilation) が認められる. 心不全患者におけるチェーン・ストークス呼吸 (CSR ; Cheyne-Stokes Respiration) の存在も同様に予後不良因子として知られているが, 全症例にPSGを施行するには時間, 費用がかかり, 容易ではない. EOVとCSRの両者には換気ドライブの亢進および過呼吸, 化学受容体反射亢進等の共通の機序が関与していることが示唆されている.  対象および目的 : 2011年1月より2013年6月までにCPETを施行した慢性心不全患者130例の内, CPET施行中にEOVを認めた患者においてCSRの有無について後ろ向きに検討し, CSRのスクリーニングとしてのCPETの有用性を評価する.  結果 : 130名の慢性心不全患者 ( (60±16歳, 男性105名, LVEF : 37±12%, 非虚血性心筋症97名, peak VO2/kg : 16.6±5.3mL/kg/分) の内, 40名 (30.8%) でEOVを認め, 25名がType 2もしくはType 3の簡易型PSGで評価され, 全症例でCSRを認めた. 一方で, CSRを認めるが, AHIの低い症例も存在し, パルスオキシメータを用いた評価 (Type 4) ではCSRを検出できない可能性があることも示唆された.  考察 : 本研究では, EOVの存在した全症例での検討ではなく, EOVを認めなかった症例についての検討もできておらず, スクリーニング検査としての有用性を断定することはできないが, EOVはCSRの存在を強く示唆し, ASVを含めた陽圧治療の検討に繋がる可能性もあると考えられる.  結語 : 心肺運動負荷試験はCSR検出の指標となりうることが示された.
ISSN:0586-4488
2186-3016
DOI:10.11281/shinzo.46.1538