肺高血圧症におけるCa2+感受性受容体の機能亢進

「1. はじめに」 肺高血圧症(pulmonary hypertension)とは, 様々な原因により慢性的に肺動脈圧が上昇する状態であり, 平均肺動脈圧が安静時に25mmHg以上, 運動時に30mmHg以上になる状態と定義されている. 肺高血圧症の発症頻度は, 国内では年間100万人に1-2人程度(年間約100人ずつ増加)で, 2010年度の罹患者数は1560人(全世界では約10万人)である. 肺高血圧症の5年生存率は約50%であり, 治療介入を行わない場合, 平均余命は約2.8年と推測されており, 発症後の予後が極めて不良な疾患である. 米国では, 肺高血圧症患者の平均年齢は, 1980年...

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Published inYAKUGAKU ZASSHI Vol. 133; no. 12; pp. 1351 - 1359
Main Authors 山村, 彩, 山村, 寿男, Yuan, Jason X.-J.
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益社団法人 日本薬学会 01.12.2013
日本薬学会
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Summary:「1. はじめに」 肺高血圧症(pulmonary hypertension)とは, 様々な原因により慢性的に肺動脈圧が上昇する状態であり, 平均肺動脈圧が安静時に25mmHg以上, 運動時に30mmHg以上になる状態と定義されている. 肺高血圧症の発症頻度は, 国内では年間100万人に1-2人程度(年間約100人ずつ増加)で, 2010年度の罹患者数は1560人(全世界では約10万人)である. 肺高血圧症の5年生存率は約50%であり, 治療介入を行わない場合, 平均余命は約2.8年と推測されており, 発症後の予後が極めて不良な疾患である. 米国では, 肺高血圧症患者の平均年齢は, 1980年代には36歳であったが, 診断基準の確立や新規治療薬の導入によって, 現在では50歳となっている. 1, 2) 日本では, 41.9歳である. 3) わが国では, 平成10年1月より厚生労働省が定める特定疾患治療研究事業対象疾患(難病)に指定されている.
ISSN:0031-6903
1347-5231
DOI:10.1248/yakushi.13-00228-3