孤立性左室心筋緻密化障害成人例の症例検討
左室心筋緻密化障害は,過剰な網目状の肉柱形成と深い間隙を形態的特徴とする稀な先天性の心筋疾患とされてきた.しかし,近年疾患概念の普及と超音波診断装置の画質向上により,成人での発見も増えてきており,それほど稀ではないことがわかってきた.当院においても2006年7月から2008年10月までに成人例だけで24例経験したので,その特徴的所見を心エコー所見を中心に検討した.発見の契機は心不全としての検査が11例.拡張型心筋症としての検査が7例.陳旧性心筋梗塞の経過観察中が2例.透析患者の心機能検査が2例.心電図異常の精査が2例であった.超音波所見は,23例で,び漫性の壁運動低下を認めた.陳旧性心筋梗塞の...
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Published in | Shinzo Vol. 42; no. 6; pp. 743 - 749 |
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Main Authors | , , , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
公益財団法人 日本心臓財団
2010
日本心臓財団 Japan Heart Foundation |
Online Access | Get full text |
ISSN | 0586-4488 2186-3016 |
DOI | 10.11281/shinzo.42.743 |
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Summary: | 左室心筋緻密化障害は,過剰な網目状の肉柱形成と深い間隙を形態的特徴とする稀な先天性の心筋疾患とされてきた.しかし,近年疾患概念の普及と超音波診断装置の画質向上により,成人での発見も増えてきており,それほど稀ではないことがわかってきた.当院においても2006年7月から2008年10月までに成人例だけで24例経験したので,その特徴的所見を心エコー所見を中心に検討した.発見の契機は心不全としての検査が11例.拡張型心筋症としての検査が7例.陳旧性心筋梗塞の経過観察中が2例.透析患者の心機能検査が2例.心電図異常の精査が2例であった.超音波所見は,23例で,び漫性の壁運動低下を認めた.陳旧性心筋梗塞の症例においても,梗塞部位が同定できないほど,び漫性に低下していた.左室拡張末期径は49~88mm,平均65.1±9.4mmと拡大していた.左室駆出率は15~53%,平均32.5±9.1%と低下していた.左室内径短縮率は7~28%,平均16.4±5.7%と低下していた.肉中の高さに対する緻密化層の比は0.23~0.38,平均0.316±0.041であった.左室内血栓および血栓症は,5例に認めた.BNPは57~4,146pg/mL,平均987.08±956.67pg/mLと上昇していた. 以上,左室心筋緻密化障害成人例の肉中形成以外の特徴は,び漫性の壁運動低下,左室の拡大および収縮不全であった. |
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ISSN: | 0586-4488 2186-3016 |
DOI: | 10.11281/shinzo.42.743 |