油圧制動付短下肢装具を用いた歩行練習を継続し歩容の異常と歩行速度の改善に至った重度の運動失調を呈した頭部外傷後遺症例

【目的】運動失調に起因する歩容異常がみられ歩行能力が低下した頭部外傷例に対し,油圧制動付短下肢装具(以下,GSD)を継続的に使用した歩行練習を行い,歩行能力が改善したため報告する。【対象】受傷後15 ヵ月が経過し右上下肢優位の運動失調を呈した10 歳代の女性である。歩行時,右立脚期で膝関節を完全伸展位で保持する異常歩容を呈し歩行速度は27.04 m/min であった。異常歩容を改善し歩行速度の向上を図る目的でGSD 装着下での歩行(以下,GSD 歩行)練習を開始した。【結果】GSD 歩行練習開始時,4 ヵ月後,15 ヵ月後の膝関節屈曲角は順に,約30°,約20°,15 ~5°で,歩行速度は順に...

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Published in理学療法学 Vol. 45; no. 6; pp. 400 - 409
Main Authors 阿部, 浩明, 大鹿糠, 徹, 長嶺, 義秀, 関, 崇志
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本理学療法士学会 2018
日本理学療法士協会
Japanese Society of Physical Therapy
Subjects
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ISSN0289-3770
2189-602X
DOI10.15063/rigaku.11479

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Summary:【目的】運動失調に起因する歩容異常がみられ歩行能力が低下した頭部外傷例に対し,油圧制動付短下肢装具(以下,GSD)を継続的に使用した歩行練習を行い,歩行能力が改善したため報告する。【対象】受傷後15 ヵ月が経過し右上下肢優位の運動失調を呈した10 歳代の女性である。歩行時,右立脚期で膝関節を完全伸展位で保持する異常歩容を呈し歩行速度は27.04 m/min であった。異常歩容を改善し歩行速度の向上を図る目的でGSD 装着下での歩行(以下,GSD 歩行)練習を開始した。【結果】GSD 歩行練習開始時,4 ヵ月後,15 ヵ月後の膝関節屈曲角は順に,約30°,約20°,15 ~5°で,歩行速度は順に,25.42 m/min,25.94 m/min,37.98 m/min へ向上した。【結論】GSD により足部rocker 機構を補助し,膝関節制御における課題難易度を調整したうえで歩行練習を継続したことが,歩行能力向上に至った要因であると思われた。
ISSN:0289-3770
2189-602X
DOI:10.15063/rigaku.11479