キタオットセイCallorhinus ursinus舌乳頭の観察

「摘要」 新生子および幼若獣のキタオットセイCallorhinus ursinusの舌表面を走査型電子顕微鏡で観察した. キタオットセイの舌の先端は2つに分離し, 舌尖の舌腹側面には溝が存在した. 舌背側面には, 円錐乳頭, 茸状乳頭および有郭乳頭が観察され, 円錐乳頭は舌表面全域に見られた. また, 円錐乳頭は舌尖から舌根に向かうにしたがってより大型となった. 新生子では, 円錐乳頭の先端は円く形態的に未発達であった. 茸状乳頭は, 円錐乳頭の間に散在して見られ, その分布は舌体に比し舌尖において密に分布した. 有郭乳頭は舌体と舌根との境界領域に観察され, その位置および数は様々であった....

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Published in哺乳類科学 Vol. 41; no. 2; pp. 187 - 194
Main Authors 江村, 正一, 玉田, 章, 早川, 大輔, 陳, 華岳, 正村, 静子
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本哺乳類学会 2001
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Summary:「摘要」 新生子および幼若獣のキタオットセイCallorhinus ursinusの舌表面を走査型電子顕微鏡で観察した. キタオットセイの舌の先端は2つに分離し, 舌尖の舌腹側面には溝が存在した. 舌背側面には, 円錐乳頭, 茸状乳頭および有郭乳頭が観察され, 円錐乳頭は舌表面全域に見られた. また, 円錐乳頭は舌尖から舌根に向かうにしたがってより大型となった. 新生子では, 円錐乳頭の先端は円く形態的に未発達であった. 茸状乳頭は, 円錐乳頭の間に散在して見られ, その分布は舌体に比し舌尖において密に分布した. 有郭乳頭は舌体と舌根との境界領域に観察され, その位置および数は様々であった. 新生子では, 円錐乳頭の発育は茸状乳頭および有郭乳頭に比し遅かった. なお, 葉状乳頭は観察されなかった. 「はじめに」 これまでに種々の動物の舌表面が走査型電子顕微鏡により観察されている. 食肉目においては, ネコ(Boshell et al., 1982;Ojima et al., 1997), イヌ(Iwasaki and Sakata, 1985), マングース(Iwasaki et al., 1987a), ニホンイタチ(古林ほか, 1989)の報告がある.
ISSN:0385-437X
1881-526X
DOI:10.11238/mammalianscience.41.187