耳下腺癌に対する穿刺吸引細胞診および迅速病理診断における組織型・悪性度診断についての検討

「はじめに」 : 耳下腺癌の予後を規定する因子はステージと組織学的悪性度である. 前者は画像診断の発達とともにかなり正確な術前診断が可能になった. しかし後者は組織型, 悪性度が多彩なこともあり, 術前における正確な診断が困難である. 術前における組織型や悪性度の診断は現在のところ穿刺吸引細胞診 (fine needle aspiration cytology ; FNAC) が唯一の方法であるが, その診断率は一般的に不良とされている. 迅速病理診断 (frozen section ; FS) による診断はFNACより良好とされているが, それでも耳下腺癌では頭頸部扁平上皮癌に比べて良好では...

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Published in日本耳鼻咽喉科学会会報 Vol. 119; no. 3; pp. 241 - 242
Main Authors 河田, 了, 辻, 求, 西川, 周治, 東野, 正明, 栗栖, 義賢, 寺田, 哲也, 李, 昊哲
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本耳鼻咽喉科学会 2016
日本耳鼻咽喉科学会
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Summary:「はじめに」 : 耳下腺癌の予後を規定する因子はステージと組織学的悪性度である. 前者は画像診断の発達とともにかなり正確な術前診断が可能になった. しかし後者は組織型, 悪性度が多彩なこともあり, 術前における正確な診断が困難である. 術前における組織型や悪性度の診断は現在のところ穿刺吸引細胞診 (fine needle aspiration cytology ; FNAC) が唯一の方法であるが, その診断率は一般的に不良とされている. 迅速病理診断 (frozen section ; FS) による診断はFNACより良好とされているが, それでも耳下腺癌では頭頸部扁平上皮癌に比べて良好ではない. FNACやFSの正診を良悪性の鑑別とするのか, 組織型とするのか, 悪性度とするのかも重要なポイントである. 組織型と悪性度がともに診断できれば最も良いが, 組織型が不明な場合でも悪性度が診断できれば, 適切な切除方針が決定できる場合も多いと考えられる.
ISSN:0030-6622
1883-0854
DOI:10.3950/jibiinkoka.119.241