Painの和訳-用語委員会からの提言
Painは,日本ペインクリニック学会用語集第2版で痛み,疼痛と和訳されているが,日本ペインクリニック学会用語委員会では第3版編集にあたりpainの訳語を,現代と過去の国語辞典,英和辞典,医学辞典,日中辞典,痛みに関する論文を調べ,再検討した.現代と過去の国語辞典は,「痛み」と「疼痛」を区別しており,「疼痛」とは疼く痛みのことであり,「痛み」の中のごく一部を意味すると定義されている.Painの訳語は,現代の主な英和辞典では,苦痛,苦しみ,痛みなどが記載されており,過去の英和辞典でも,主に痛,痛みと記載されており,疼痛という訳語は記載されていない.これに対して医学辞典では過去と現代ともに,ほとんど...
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Published in | 日本ペインクリニック学会誌 Vol. 16; no. 4; pp. 505 - 508 |
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Main Authors | , , , , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
一般社団法人 日本ペインクリニック学会
2009
日本ペインクリニック学会 |
Subjects | |
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ISSN | 1340-4903 1884-1791 |
DOI | 10.11321/jjspc.09-164505 |
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Summary: | Painは,日本ペインクリニック学会用語集第2版で痛み,疼痛と和訳されているが,日本ペインクリニック学会用語委員会では第3版編集にあたりpainの訳語を,現代と過去の国語辞典,英和辞典,医学辞典,日中辞典,痛みに関する論文を調べ,再検討した.現代と過去の国語辞典は,「痛み」と「疼痛」を区別しており,「疼痛」とは疼く痛みのことであり,「痛み」の中のごく一部を意味すると定義されている.Painの訳語は,現代の主な英和辞典では,苦痛,苦しみ,痛みなどが記載されており,過去の英和辞典でも,主に痛,痛みと記載されており,疼痛という訳語は記載されていない.これに対して医学辞典では過去と現代ともに,ほとんどがpainの訳語を「痛み,疼痛」と記載し,「痛み」と「疼痛」を同義語としている.中国語では「疼:teng」「痛:tong」「疼痛:tengtong」は,ほぼ同じ意味である.用語委員会ではpainの訳語が医学界と一般社会で違いがあるのは望ましくないと考え,第3版のpainの和訳として「痛み」あるいは「痛」が適切であると結論し,ただ,疼痛がすでに定着した言葉になっているので,「疼痛」も併記することになった. |
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ISSN: | 1340-4903 1884-1791 |
DOI: | 10.11321/jjspc.09-164505 |