側頭窩・側頭下窩に進展した中耳肉芽腫の1例
幼少期に中耳炎手術歴を有し、耳内に高度な炎症性病変を呈する症例を経験した。症例は2型糖尿病を合併する86歳男性で、左耳痛を主訴に当院を紹介受診した。局所所見と画像所見上、外耳道から鼓室内に連続する非腫瘍性の肉芽組織と、側頭下窩に至り膿瘍を伴う炎症所見と硬膜肥厚所見が確認された。細菌培養検査では一般細菌・抗酸菌とも原因菌は検出されず、血液生化学検査上も肉芽腫性多発血管炎などの全身性炎症性疾患は否定的で、病理組織学的にも非特異的炎症性肉芽との診断であった。本症例は術後耳において耳鼻科通院が長期間途絶した結果の炎症性疾患と考えられ、抗菌薬には反応不良であったが、ステロイド全身投与にて改善を得ることが...
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Published in | Otology Japan Vol. 24; no. 2; pp. 118 - 122 |
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Main Authors | , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
一般社団法人 日本耳科学会
2014
日本耳科学会 Japan Otological Society |
Subjects | |
Online Access | Get full text |
ISSN | 0917-2025 1884-1457 |
DOI | 10.11289/otoljpn.24.118 |
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Summary: | 幼少期に中耳炎手術歴を有し、耳内に高度な炎症性病変を呈する症例を経験した。症例は2型糖尿病を合併する86歳男性で、左耳痛を主訴に当院を紹介受診した。局所所見と画像所見上、外耳道から鼓室内に連続する非腫瘍性の肉芽組織と、側頭下窩に至り膿瘍を伴う炎症所見と硬膜肥厚所見が確認された。細菌培養検査では一般細菌・抗酸菌とも原因菌は検出されず、血液生化学検査上も肉芽腫性多発血管炎などの全身性炎症性疾患は否定的で、病理組織学的にも非特異的炎症性肉芽との診断であった。本症例は術後耳において耳鼻科通院が長期間途絶した結果の炎症性疾患と考えられ、抗菌薬には反応不良であったが、ステロイド全身投与にて改善を得ることができた。耳内所見は改善を得ていたが、感染性腸炎の発症により死亡した。 |
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ISSN: | 0917-2025 1884-1457 |
DOI: | 10.11289/otoljpn.24.118 |