後期高齢者の生活体験が及ぼす自己の身体へのいたわり

「目的」高齢化の進展とともに老人医療をはじめとする医療費が年々増大しているにもかかわらず, 景気の低迷から医療費の主たる財源となる保険料収入が伸び悩み, 現在, 医療保険財政は極めて厳しい状況にある. このような状況の中で, 平成17年10月, 予防を重視することを謳った医療構造改革試案が取りまとめられ, また, 介護保険においても18年の改正によって, 予防重視型システムへと方針が転換されている. 特に高齢者は様々な疾患を併せ持っていることが多いため, 「自覚症状はないが検査では異常がある状態」や「自覚症状はあるが検査では異常がない状態」という「未病」状態に置かれていることが多い. ナイチン...

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Published in日本未病システム学会雑誌 Vol. 12; no. 1; pp. 105 - 107
Main Authors 佐藤, 弘美, 佐藤, 可奈, 細川, 淳子, 天津, 栄子
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本未病システム学会 2006
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ISSN1347-5541
2185-2162
DOI10.11288/mibyou1998.12.105

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Summary:「目的」高齢化の進展とともに老人医療をはじめとする医療費が年々増大しているにもかかわらず, 景気の低迷から医療費の主たる財源となる保険料収入が伸び悩み, 現在, 医療保険財政は極めて厳しい状況にある. このような状況の中で, 平成17年10月, 予防を重視することを謳った医療構造改革試案が取りまとめられ, また, 介護保険においても18年の改正によって, 予防重視型システムへと方針が転換されている. 特に高齢者は様々な疾患を併せ持っていることが多いため, 「自覚症状はないが検査では異常がある状態」や「自覚症状はあるが検査では異常がない状態」という「未病」状態に置かれていることが多い. ナイチンゲールは, 「すべての病気は, その経過のどの時期をとっても, 程度の差こそあれ, その性質は回復過程であって……つまり病気とは, poisoning, decayする過程を癒そうとする自然の努力の現れであり……」1)と述べている. 高齢者は未病の状態において, 病に傾くことのないよう, バランスの取れた状態を維持していくために, 高齢者自身の身体に対していたわりという形で, 自然の努力を発揮している.
ISSN:1347-5541
2185-2162
DOI:10.11288/mibyou1998.12.105