18FDG-PET/CTで診断に至ったデバイス感染の1例

症例は70歳代の男性. 2009年に近医で心機能低下を指摘され, 以後心不全の増悪, 寛解を繰り返した. 2012年4月に当科を紹介受診し, 特発性拡張型心筋症の診断でCRT-Dを留置した. 以後心不全の増悪なく経過したが, 2013年3月特に誘因なく発熱が出現し, 近医に入院した. 蜂窩織炎の診断でメロペネムが開始され, 速やかに解熱した. 第14病日に退院したが, 退院2日後より発熱が再燃したため当院に救急搬送された. 創部に感染所見はなく, 経胸壁心エコー図で明らかな疣贅を認めなかった. 胸部CTで肺炎像を認めたため, スルバクタム/アンピシリンを開始した. 開始後速やかに解熱し, 炎症...

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Published inShinzo Vol. 47; no. 9; pp. 1133 - 1140
Main Authors 塩野, 泰紹, 赤阪, 隆史, 平田, 久美子, 久保, 隆史, 山野, 貴司, 折居, 誠, 穂積, 健之, 山口, 智由, 野澤, 有紀, 松尾, 好記, 田中, 篤, 猪野, 靖
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益財団法人 日本心臓財団 2015
日本心臓財団・日本循環器学会
Japan Heart Foundation
Subjects
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ISSN0586-4488
2186-3016
DOI10.11281/shinzo.47.1133

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Summary:症例は70歳代の男性. 2009年に近医で心機能低下を指摘され, 以後心不全の増悪, 寛解を繰り返した. 2012年4月に当科を紹介受診し, 特発性拡張型心筋症の診断でCRT-Dを留置した. 以後心不全の増悪なく経過したが, 2013年3月特に誘因なく発熱が出現し, 近医に入院した. 蜂窩織炎の診断でメロペネムが開始され, 速やかに解熱した. 第14病日に退院したが, 退院2日後より発熱が再燃したため当院に救急搬送された. 創部に感染所見はなく, 経胸壁心エコー図で明らかな疣贅を認めなかった. 胸部CTで肺炎像を認めたため, スルバクタム/アンピシリンを開始した. 開始後速やかに解熱し, 炎症所見も改善した. 第15病日に抗菌薬を中止後, 感染兆候が再燃し, 心不全も増悪した. 経食道心エコー図で疣贅は認めず, 感染源を特定するため第32病日に18FDG-PET/CTを施行した. リードとジェネレーターとの接合部, 上大静脈合流部, 肺の結節影に一致したFDG集積を認めた. デバイス感染と多発性肺膿瘍と診断し, 第41病日にデバイスの外科的抜去, 心外膜ペーシング留置術を施行した. 術後感染や心不全の再燃なく経過し, 第77病日に独歩退院した. 心腔外に疣贅が局在するデバイス感染症例では, 18FDG-PET/CTが有用である.
ISSN:0586-4488
2186-3016
DOI:10.11281/shinzo.47.1133