痛み診療の現場における2013年1年間の有害事象について─日本ペインクリニック学会安全委員会・有害事象調査報告と課題
日本ペインクリニック学会安全委員会では,2009年より学会認定ペインクリニック専門医指定研修施設を対象に有害事象収集事業を開始した.本稿では2013年の1年間を対象とした第3回調査の結果について報告する.第3回調査では,310施設中199施設(64%)から回答が得られた.第2回調査の結果と同様に,有害事象のほとんどが鎮痛薬・鎮痛補助薬の副作用,または神経ブロック・インターベンショナル治療の合併症であった.薬物に関しては,トラマドール・アセトアミノフェン配合錠によるスティーブンス・ジョンソン症候群,抗菌薬や中枢性筋弛緩薬によるアナフィラキシーショック,トラマドールや抗うつ薬によるセロトニン症候群...
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Published in | 日本ペインクリニック学会誌 Vol. 23; no. 2; pp. 79 - 86 |
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Main Authors | , , , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
一般社団法人 日本ペインクリニック学会
2016
日本ペインクリニック学会 |
Subjects | |
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ISSN | 1340-4903 1884-1791 |
DOI | 10.11321/jjspc.15-0050 |
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Summary: | 日本ペインクリニック学会安全委員会では,2009年より学会認定ペインクリニック専門医指定研修施設を対象に有害事象収集事業を開始した.本稿では2013年の1年間を対象とした第3回調査の結果について報告する.第3回調査では,310施設中199施設(64%)から回答が得られた.第2回調査の結果と同様に,有害事象のほとんどが鎮痛薬・鎮痛補助薬の副作用,または神経ブロック・インターベンショナル治療の合併症であった.薬物に関しては,トラマドール・アセトアミノフェン配合錠によるスティーブンス・ジョンソン症候群,抗菌薬や中枢性筋弛緩薬によるアナフィラキシーショック,トラマドールや抗うつ薬によるセロトニン症候群が重大な有害事象として報告された.神経ブロック・インターベンショナル治療に関しては,肋間神経ブロック,腹腔神経叢ブロックや肩甲上神経ブロックによる気胸,硬膜外ブロック時のくも膜下注入や呼吸循環不全,そして感染性合併症といった神経ブロックに特有な有害事象が多く報告された.これらの副作用や合併症を再認識し,安全対策をさらに強化する必要がある. |
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ISSN: | 1340-4903 1884-1791 |
DOI: | 10.11321/jjspc.15-0050 |