消化管スパイスセンサーとその機能:辛味は胃腸でも味わう
「1. はじめに 辛味はひりひりする痛み」 トウガラシの辛味の本体はトウガラシ果実中に含有されるカプサイシン及びその類縁化合物である. トウガラシを摂取した場合に引き起こされる生理作用の多くは, このカプサイシン類(カプサイシノイド)によるものと考えられる. その化学構造は脂肪酸とバニリルアミンがアミド結合した脂溶性化合物であるため, 細胞膜を通過し易く組織への浸透性は高い. カプサイシンの辛味は, 味覚を感じる舌の味蕾を通り抜けて, その深部にあるカプサイシン感受性知覚神経で感受されている. したがって, 辛味は味蕾で感受しているのではないので, 味覚ではない. カプサイシンの一次知覚神経に...
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Published in | YAKUGAKU ZASSHI Vol. 138; no. 8; pp. 1003 - 1009 |
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Main Authors | , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
公益社団法人 日本薬学会
01.08.2018
日本薬学会 |
Subjects | |
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ISSN | 0031-6903 1347-5231 |
DOI | 10.1248/yakushi.17-00048-1 |
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Summary: | 「1. はじめに 辛味はひりひりする痛み」 トウガラシの辛味の本体はトウガラシ果実中に含有されるカプサイシン及びその類縁化合物である. トウガラシを摂取した場合に引き起こされる生理作用の多くは, このカプサイシン類(カプサイシノイド)によるものと考えられる. その化学構造は脂肪酸とバニリルアミンがアミド結合した脂溶性化合物であるため, 細胞膜を通過し易く組織への浸透性は高い. カプサイシンの辛味は, 味覚を感じる舌の味蕾を通り抜けて, その深部にあるカプサイシン感受性知覚神経で感受されている. したがって, 辛味は味蕾で感受しているのではないので, 味覚ではない. カプサイシンの一次知覚神経に対する作用は選択性が高く, 他の神経や他の作用点にはあまり作用しない. カプサイシン感受性知覚神経とは, カプサイシンにより選択的に活性化される求心性一次知覚神経で, 主に無髄のC線維である. |
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ISSN: | 0031-6903 1347-5231 |
DOI: | 10.1248/yakushi.17-00048-1 |