科学捜査の最前線 ─犯罪立証に資する法科学研究の現状と展開
指定薬物制度の強化により危険ドラッグ使用者数は激減したが, 覚醒剤や大麻事犯者数は依然として高レベルで推移し, 新規の麻薬類も次々に流通するなど, わが国の薬物乱用問題は現在も厳しい情勢にある. また, 2020年オリンピック・パラリンピックを控え, 生物・化学テロや爆弾テロ事件の発生も危惧される. 犯罪捜査(Criminal investigation)は犯罪事実を立証するためにあるが, 従来からの自白や供述による捜査から, 近年は物的証拠が重視されるようになっている. 科学捜査(Scientific investigation)は, 物理・化学, 工学, 医学, 薬学, 農学などの自然科学...
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Published in | YAKUGAKU ZASSHI Vol. 139; no. 5; pp. 683 - 684 |
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Main Authors | , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
公益社団法人 日本薬学会
01.05.2019
日本薬学会 |
Online Access | Get full text |
ISSN | 0031-6903 1347-5231 |
DOI | 10.1248/yakushi.18-00166-F |
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Summary: | 指定薬物制度の強化により危険ドラッグ使用者数は激減したが, 覚醒剤や大麻事犯者数は依然として高レベルで推移し, 新規の麻薬類も次々に流通するなど, わが国の薬物乱用問題は現在も厳しい情勢にある. また, 2020年オリンピック・パラリンピックを控え, 生物・化学テロや爆弾テロ事件の発生も危惧される. 犯罪捜査(Criminal investigation)は犯罪事実を立証するためにあるが, 従来からの自白や供述による捜査から, 近年は物的証拠が重視されるようになっている. 科学捜査(Scientific investigation)は, 物理・化学, 工学, 医学, 薬学, 農学などの自然科学のみならず, 心理学, 社会学, 教育学などの社会科学の知識や技術を応用し, 科学的な考え方に基づいて行う犯罪捜査であり, 証拠を重視する合理的な捜査である. 科学捜査の領域においては, 最新の科学技術を駆使し, 犯罪の手がかりを見つけ, 犯罪を立証するための新たな手法の開発及び確立した手法を利用した鑑定・検査が行われる. |
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ISSN: | 0031-6903 1347-5231 |
DOI: | 10.1248/yakushi.18-00166-F |