リスク・ベネフィットコミュニケーション:海外の動向と今後の展望

「1. はじめに」医薬品のベネフィットの期待が大きい一方で, 副作用による健康被害も後を絶たない. 要因の1つとして, リスク・ベネフィットに関するコミュニケーションが十分に行われていないことが考えられる. 医療従事者, 組織や企業は, 提供する医薬品のリスク・ベネフィット及びポリシーやサービスに関する有用な情報を提供する責任がある. しかし, Fischoffらによると, ヒューリスティックな決定ルールとして, 人が一度に扱える情報量はわずかであり, 一度に考えることができる心理学的上限値は7±2項目程度であるとしている. 情報の送り手は, 自分の考えが一般常識と考えてしまう傾向があり, 説...

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Published inYAKUGAKU ZASSHI Vol. 138; no. 3; pp. 299 - 306
Main Author 山本, 美智子
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益社団法人 日本薬学会 01.03.2018
日本薬学会
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Summary:「1. はじめに」医薬品のベネフィットの期待が大きい一方で, 副作用による健康被害も後を絶たない. 要因の1つとして, リスク・ベネフィットに関するコミュニケーションが十分に行われていないことが考えられる. 医療従事者, 組織や企業は, 提供する医薬品のリスク・ベネフィット及びポリシーやサービスに関する有用な情報を提供する責任がある. しかし, Fischoffらによると, ヒューリスティックな決定ルールとして, 人が一度に扱える情報量はわずかであり, 一度に考えることができる心理学的上限値は7±2項目程度であるとしている. 情報の送り手は, 自分の考えが一般常識と考えてしまう傾向があり, 説明不足の傾向にある. また, 送り手は受け手が送り手の意図をくみとってくれると過剰に期待する傾向にあることも指摘している. リスク管理計画がスタートして早4年, それに関連した医療従事者及び患者向け資材も提供されているが, まだ十分に活用されているとは言い難い.
ISSN:0031-6903
1347-5231
DOI:10.1248/yakushi.17-00185-1