わが国の自殺の現状と自殺予防に期待する薬剤師の役割

「1. はじめに」わが国の自殺者総数は, 1998年に一挙に3万人を超えて, 以後, 現在まで14年間高止まりのまま推移している. 急増当初, 職場においても家庭においても責任ある立場にある中高年男性の自殺が目立っていたが, 最近2, 3年のうちに, 自殺者の年代的なピークはこれからの日本を背負って立つべき若年層へと推移する動きをみせている. いずれにしても, わが国では20-50代という生産人口にあたる年代における死因の第1位が「自殺」であり, 自殺がもたらす国全体の損失は極めて深刻である. こうした状況のなかで, 2006年には自殺対策基本法が制定され, その法律に基づいて, 2007年に...

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Published inYAKUGAKU ZASSHI Vol. 133; no. 6; pp. 599 - 615
Main Author 松本, 俊彦
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益社団法人 日本薬学会 01.06.2013
日本薬学会
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ISSN0031-6903
1347-5231
DOI10.1248/yakushi.13-00056-1

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Summary:「1. はじめに」わが国の自殺者総数は, 1998年に一挙に3万人を超えて, 以後, 現在まで14年間高止まりのまま推移している. 急増当初, 職場においても家庭においても責任ある立場にある中高年男性の自殺が目立っていたが, 最近2, 3年のうちに, 自殺者の年代的なピークはこれからの日本を背負って立つべき若年層へと推移する動きをみせている. いずれにしても, わが国では20-50代という生産人口にあたる年代における死因の第1位が「自殺」であり, 自殺がもたらす国全体の損失は極めて深刻である. こうした状況のなかで, 2006年には自殺対策基本法が制定され, その法律に基づいて, 2007年には, わが国の自殺対策の問題意識と目標を明記した自殺総合対策大綱が閣議決定された. その結果, わが国の自殺対策は, 「可能であればやる」という単なる努力目標ではなくなり, 国や自治体, さらには民間の様々な組織や団体が取り組まねばならない義務へと変わったことになる.
ISSN:0031-6903
1347-5231
DOI:10.1248/yakushi.13-00056-1