PK/PD解析及びTDMに基づく抗菌薬療法個別化への臨床的アプローチ

「1. はじめに」感染症治療において, 抗菌薬のtherapeutic drug monitoring (TDM)は薬物血中濃度から臨床効果や副作用を評価する手段となり得る. 抗菌薬を効果的に使用するためには, TDMを実施し, pharmacokinetics-pharmacodynamics (PK-PD)解析に基づく投与設計や血中濃度をモニタリングすることが重要である. しかしながら, 持続透析や発熱性好中球減少症(febrile neutropenia; FN)等の特殊病態下の患者においては, 基礎疾患や投与開始前後での全身状態の変化により, 血中濃度の個体差が大きく, また, 抗菌効...

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Published inYAKUGAKU ZASSHI Vol. 139; no. 6; pp. 917 - 922
Main Authors 佐藤, 雄己, 鈴木, 陽介, 田中, 遼大, 金子, 哲也, 伊東, 弘樹
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益社団法人 日本薬学会 01.06.2019
日本薬学会
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Summary:「1. はじめに」感染症治療において, 抗菌薬のtherapeutic drug monitoring (TDM)は薬物血中濃度から臨床効果や副作用を評価する手段となり得る. 抗菌薬を効果的に使用するためには, TDMを実施し, pharmacokinetics-pharmacodynamics (PK-PD)解析に基づく投与設計や血中濃度をモニタリングすることが重要である. しかしながら, 持続透析や発熱性好中球減少症(febrile neutropenia; FN)等の特殊病態下の患者においては, 基礎疾患や投与開始前後での全身状態の変化により, 血中濃度の個体差が大きく, また, 抗菌効果の指標となる起炎菌が特定されないため, PK-PD理論に基づく血中濃度の評価や投与計画に難渋することも少なくない. 筆者らは, 抗菌薬の中でも, カルバペネム系薬, グリコペプチド系薬に着目し, 特殊病態下の患者における有効性及び安全性の観点からのTDMの有用性を検討してきた.
ISSN:0031-6903
1347-5231
DOI:10.1248/yakushi.18-00213-3