超高分子多糖類サクランの一軸配向膜形成と薬物放出の試み

「1. はじめに」実際の乾燥環境に適応した植物の細胞壁や細胞質は高分子多糖類で構成され, その構造異方性と空間分割を利用することによってウエットな空間を造っている. 一方, 材料学的にはソフトマテリアルの界面不安定性や力学的不安定性を利用することでその幾何構造制御が可能である. 例えば, 粘性液体のフィンガリングパターンやゲルの膨潤収縮の際に生じる座屈パターンが挙げられ, 物質捕捉・輸送など医薬分野の機能材料への応用が期待されている. 特に, 界面を利用したコロイド結晶の作製にあたって, 乾燥過程における界面は, 構成単位の移流集積によってパターン形成を引き起こす重要な場である. われわれはこ...

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Published inYAKUGAKU ZASSHI Vol. 138; no. 4; pp. 503 - 507
Main Authors 桶葭, 興資, 岡島, 麻衣子, 金子, 達雄
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益社団法人 日本薬学会 01.04.2018
日本薬学会
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Summary:「1. はじめに」実際の乾燥環境に適応した植物の細胞壁や細胞質は高分子多糖類で構成され, その構造異方性と空間分割を利用することによってウエットな空間を造っている. 一方, 材料学的にはソフトマテリアルの界面不安定性や力学的不安定性を利用することでその幾何構造制御が可能である. 例えば, 粘性液体のフィンガリングパターンやゲルの膨潤収縮の際に生じる座屈パターンが挙げられ, 物質捕捉・輸送など医薬分野の機能材料への応用が期待されている. 特に, 界面を利用したコロイド結晶の作製にあたって, 乾燥過程における界面は, 構成単位の移流集積によってパターン形成を引き起こす重要な場である. われわれはこれまでに, ラン藻Aphanothece sacrum由来の2×107g/molを超える高分子量を持つ多糖類「サクラン」を題材として, その液晶性・生体適合性・レアアース捕捉能を明らかにし, また異方的に膨潤するハイドロゲルの作製に成功している.
ISSN:0031-6903
1347-5231
DOI:10.1248/yakushi.17-00201-3