小胞体機能異常による疾患発症機構と創薬への展開

主に分泌系や膜タンパク質は小胞体で正常に折り畳まれ, 正常な機能を獲得する. しかし, 細胞内外のストレス負荷により小胞体の機能が障害されると, 小胞体内に折り畳み不完全なタンパク質が蓄積し, 小胞体ストレスが惹起される. 一方, 細胞はこのような危機的な状況から回避するためのシステムを有する. すなわち, 異常タンパク質の蓄積に伴い, 小胞体ストレスセンサータンパク質/小胞体ストレス関連分解系が活性化され, 異常タンパク質の折り畳み, 翻訳抑制, 異常タンパク質分解を促進させる. 酵母レベルで知られていた小胞体ストレス関連遺伝子が, 最近, ヒトでも同定され, これらの小胞体ストレス関連遺伝...

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Published inYAKUGAKU ZASSHI Vol. 136; no. 6; pp. 799 - 800
Main Authors 小澤, 光一郎, 野村, 靖幸, 北村, 佳久
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益社団法人 日本薬学会 01.06.2016
日本薬学会
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Summary:主に分泌系や膜タンパク質は小胞体で正常に折り畳まれ, 正常な機能を獲得する. しかし, 細胞内外のストレス負荷により小胞体の機能が障害されると, 小胞体内に折り畳み不完全なタンパク質が蓄積し, 小胞体ストレスが惹起される. 一方, 細胞はこのような危機的な状況から回避するためのシステムを有する. すなわち, 異常タンパク質の蓄積に伴い, 小胞体ストレスセンサータンパク質/小胞体ストレス関連分解系が活性化され, 異常タンパク質の折り畳み, 翻訳抑制, 異常タンパク質分解を促進させる. 酵母レベルで知られていた小胞体ストレス関連遺伝子が, 最近, ヒトでも同定され, これらの小胞体ストレス関連遺伝子の脊椎動物における役割の重要性を示す報告がされている. さらに近年, 小胞体機能の生体恒常性維持への役割の重要性を示す報告が相次ぎ, 注目されている.
ISSN:0031-6903
1347-5231
DOI:10.1248/yakushi.15-00292-F