早産発症に関与する生理活性物質
「はじめに」早産による低出生体重児の出生は周産期死亡の大きな割合を占める. 早産の主因は前期破水と切迫早産であるが, これらの疾患の背景には絨毛膜羊膜炎が存在することが知られている. 羊膜は, 脱落膜, 絨毛膜, 羊膜より成る卵膜の最内層に位置し, 卵膜の強度を維持している組織であるが, エンドトキシンや絨毛膜羊膜炎で増加する種々のサイトカインが羊膜の脆弱化に関与していると考えられている. 一方, 疫学調査では, ダイオキシンに曝露された妊婦では早産発症が高率であることが報告されているが, その機序は不明である. ところで, アクチビンは下垂体の卵胞刺激ホルモンの産生を促進する因子として発見さ...
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Published in | THE KITAKANTO MEDICAL JOURNAL Vol. 58; no. 2; pp. 237 - 238 |
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Main Author | |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
北関東医学会
01.05.2008
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ISSN | 1343-2826 1881-1191 |
DOI | 10.2974/kmj.58.237 |
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Summary: | 「はじめに」早産による低出生体重児の出生は周産期死亡の大きな割合を占める. 早産の主因は前期破水と切迫早産であるが, これらの疾患の背景には絨毛膜羊膜炎が存在することが知られている. 羊膜は, 脱落膜, 絨毛膜, 羊膜より成る卵膜の最内層に位置し, 卵膜の強度を維持している組織であるが, エンドトキシンや絨毛膜羊膜炎で増加する種々のサイトカインが羊膜の脆弱化に関与していると考えられている. 一方, 疫学調査では, ダイオキシンに曝露された妊婦では早産発症が高率であることが報告されているが, その機序は不明である. ところで, アクチビンは下垂体の卵胞刺激ホルモンの産生を促進する因子として発見され, その後, 様々な作用が明らかとなったTGF-βスーパーファミリーに属する増殖因子であるが1, 近年, 種々の組織で炎症や組織の傷害/修復過程に関与していることが報告されている. 即ち, 神経細胞の傷害に対するbFGFの神経保護作用にはアクチビンの存在が不可欠であること, アクチビン結合蛋白であるフォリスタチンを過剰発現した遺伝子改変マウスでは創傷治癒が障害されること, 肝臓の星細胞や腎臓の間葉系細胞のコラーゲン産生にアクチビンが促進的に働くこと等が報告されている. |
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ISSN: | 1343-2826 1881-1191 |
DOI: | 10.2974/kmj.58.237 |