ガドリニウム造影MRIとFDG-PETが診断と活動性や治療効果判定に有用であった孤発性心サルコイドーシスの1例

症例は53歳, 女性, EF 20%台と拡張型心筋症様の心機能低下による心不全にて入院加療となり, 心筋生検にて多核巨細胞を伴う炎症細胞の浸潤を認めていたが, 全身にてサルコイドーシスを疑う所見を認めず, ステロイド加療はなされていなかった. その後, 心室頻拍にて再入院となり, 造影MRIを施行したところ, 遅延造影にて心尖部下壁に貫壁性の強い造影効果とその周囲に心内膜下優位の淡い造影効果を認め, T2-STIR像では心基部寄りの前壁と下壁に高信号領域を認めた. FDG-PETでは心尖部下壁に集積は認めないが, 遅延造影部位の淡い造影部位とT2-STIR像での高信号領域と一致して集積を認め,...

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Published inShinzo Vol. 48; no. 7; pp. 787 - 793
Main Authors 春田, 真一, 松本, 雄二, 前村, 浩二, 波多, 史朗, 高原, 靖, 園田, 浩一朗, 河野, 浩章, 上野, 裕貴, 岩崎, 啓介, 新北, 浩樹
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益財団法人 日本心臓財団 2016
日本心臓財団・日本循環器学会
Japan Heart Foundation
Subjects
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ISSN0586-4488
2186-3016
DOI10.11281/shinzo.48.787

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Summary:症例は53歳, 女性, EF 20%台と拡張型心筋症様の心機能低下による心不全にて入院加療となり, 心筋生検にて多核巨細胞を伴う炎症細胞の浸潤を認めていたが, 全身にてサルコイドーシスを疑う所見を認めず, ステロイド加療はなされていなかった. その後, 心室頻拍にて再入院となり, 造影MRIを施行したところ, 遅延造影にて心尖部下壁に貫壁性の強い造影効果とその周囲に心内膜下優位の淡い造影効果を認め, T2-STIR像では心基部寄りの前壁と下壁に高信号領域を認めた. FDG-PETでは心尖部下壁に集積は認めないが, 遅延造影部位の淡い造影部位とT2-STIR像での高信号領域と一致して集積を認め, 活動性のある孤発性心サルコイドーシスの診断にてステロイド治療を開始した. その後, 心不全症状は改善し, 1カ月後の造影MRIでは淡い遅延造影部位の造影効果は消失していた. 1年後の時点で心不全増悪なく, 著明な心収縮の改善は認めないが, LVEDVは有意に縮小している. 拡張型心筋症様の心機能低下を認める心サルコイドーシスは特発性拡張型心筋症に比較して予後不良といわれ, 拡張型心筋症における心サルコイドーシスの鑑別は重要である. 本症例は心以外にサルコイドーシスを示唆する所見は明らかではないが, 心臓において組織学的に診断され, 孤発性の可能性が考えられた心サルコイドーシス症例であり, 造影MRI, FDG-PETを活用することでその診断や活動性, 治療効果判定において有用であった.
ISSN:0586-4488
2186-3016
DOI:10.11281/shinzo.48.787