心原性脳塞栓症の早期鑑別における心電図検査の有用性

背景―脳梗塞はアテローム血栓性脳梗塞,ラクナ梗塞,心原性脳塞栓症(cardioembolic stroke; CES)に大別される。中でもCESは最も重症であり,治療方法も異なるため早期の診断が重要である。CESの早期鑑別に心電図検査での心房細動の検出が有用であるが,搬入時の心電図検査で洞調律の患者もいる。本研究は搬入時の心電図検査で洞調律だった患者を対象にCESとその他の脳梗塞の早期鑑別が可能かを検討した。方法―2014年4月から2015年3月に搬入時の心電図検査で洞調律だった脳梗塞患者を対象とした。脳梗塞の病型はCESとnon-CES(アテローム血栓性脳梗塞とラクナ梗塞)に分けて検討した。...

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Published inJapanese Journal of Medical Technology Vol. 67; no. 5; pp. 668 - 674
Main Authors 橋本, 剛志, 富園, 正朋, 本山, 眞弥, 原田, 美里, 高永, 恵, 梅橋, 功征
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本臨床衛生検査技師会 25.10.2018
日本臨床衛生検査技師会
Japanese Association of Medical Technologists
Subjects
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ISSN0915-8669
2188-5346
DOI10.14932/jamt.18-30

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Summary:背景―脳梗塞はアテローム血栓性脳梗塞,ラクナ梗塞,心原性脳塞栓症(cardioembolic stroke; CES)に大別される。中でもCESは最も重症であり,治療方法も異なるため早期の診断が重要である。CESの早期鑑別に心電図検査での心房細動の検出が有用であるが,搬入時の心電図検査で洞調律の患者もいる。本研究は搬入時の心電図検査で洞調律だった患者を対象にCESとその他の脳梗塞の早期鑑別が可能かを検討した。方法―2014年4月から2015年3月に搬入時の心電図検査で洞調律だった脳梗塞患者を対象とした。脳梗塞の病型はCESとnon-CES(アテローム血栓性脳梗塞とラクナ梗塞)に分けて検討した。心電図は搬入時のものを使用し,検討項目は自動計測値を用いた。結果―対象患者は125名で女性49名,男性76名,平均年齢は75.6歳だった。病型別ではCESが42名,non-CESが83名だった。搬入時の心電図検査と血液検査において,2群間に有意差を認めた項目はP duration(128.0 vs 114.0 ms, p = 0.001),QTc interval(438.0 vs 429.0 ms, p = 0.017),V1P positive potential(60.0 vs 40.0 μV, p = 0.006),BNP(182.0 vs 27.2 pg/mL, p < 0.001),D-dimer(1.59 vs 0.65 μg/mL, p = 0.001)だった。多変量解析の結果,P duration,V1P positive potential,BNPはCESを鑑別する独立した指標となった。ROC曲線解析で算出したcutoff値をもとに,心電図検査の指標とBNPがcutoff値以上であった場合CESの陽性的中率は95.0%,心電図検査の指標とBNPがcutoff未満であった場合の陰性的中率は93.2%と高い鑑別精度となった。結論―脳梗塞患者において心電図検査とBNPの組み合わせは,CESの早期鑑別に有用であることが示唆された。
ISSN:0915-8669
2188-5346
DOI:10.14932/jamt.18-30