血管疾患のアンチエイジング治療

「はじめに」高齢者人口の増加に伴い, 高血圧, 糖尿病, 脂質異常症といった生活習慣病や, 虚血性心疾患, 心不全, 脳卒中といった心血管疾患の有病率は年々増加している. 臓器の形態形成とその恒常性は血管ネットワークにより制御・維持されているが, 血管が老化し機能不全に陥ることで臓器障害を生じることが心不全や肥満, 糖尿病の共通分子基盤であることがわかってきた. まさしく「人は血管とともに老いる」と考えられる. 老化は一定の制御機構を伴う生物学的な過程であることが明らかとなってきた. 老化は細胞レベルでも生じ, 細胞老化は老化関連疾患の病態を制御する主要な分子機構の一つとして広く認識されるよう...

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Published inShinzo Vol. 50; no. 8; pp. 873 - 877
Main Authors 仲尾, 政晃, 清水, 逸平, 南野, 徹
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益財団法人 日本心臓財団 15.08.2018
日本心臓財団・日本循環器学会
Japan Heart Foundation
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ISSN0586-4488
2186-3016
DOI10.11281/shinzo.50.873

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Summary:「はじめに」高齢者人口の増加に伴い, 高血圧, 糖尿病, 脂質異常症といった生活習慣病や, 虚血性心疾患, 心不全, 脳卒中といった心血管疾患の有病率は年々増加している. 臓器の形態形成とその恒常性は血管ネットワークにより制御・維持されているが, 血管が老化し機能不全に陥ることで臓器障害を生じることが心不全や肥満, 糖尿病の共通分子基盤であることがわかってきた. まさしく「人は血管とともに老いる」と考えられる. 老化は一定の制御機構を伴う生物学的な過程であることが明らかとなってきた. 老化は細胞レベルでも生じ, 細胞老化は老化関連疾患の病態を制御する主要な分子機構の一つとして広く認識されるようになってきた. 本稿においては血管老化のメカニズムに関する最新の知見を概説し, 老化のプロセスを治療標的とした血管疾患治療の可能性について考えてみたい. 「血管の加齢性変化」血管は加齢に伴い構造的および機能的変化をきたす.
ISSN:0586-4488
2186-3016
DOI:10.11281/shinzo.50.873