院外心停止で発症した冠動脈肺動脈瘻, 右冠動脈左高位左方起始を伴う重症3枝病変の1例

症例は45歳男性, 2013年6月歩行中に心肺停止となり, 救急隊による電気的除細動施行後, 心拍再開し当院へ搬送された. 来院時全身CT, 電解質異常を認めずnon-STEMIであったため, 低体温療法, 全身管理を行った. その後意識状態の改善を認め, 冠動脈造影検査, 心臓CTを施行. 右冠動脈は左室, 冠尖の境界から30mm高位で左冠尖上部から起始を認めた. 左右冠動脈ともに肺動脈前面へ繋がる冠動脈肺動脈瘻を認めた. 右冠動脈は近位部で完全閉塞, 側副路より右室枝, 左前下行枝が造影された. 左前下行枝は近位部で完全閉塞, 左回旋枝はbridging collateralとなっていた....

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Published inShinzo Vol. 47; no. 4; pp. 477 - 483
Main Authors 花輪, 宏明, 牧野, 有高, 中村, 政彦, 佐野, 圭太, 藤原, 裕季, 梅谷, 健, 出山, 順太郎, 徳増, 芳則
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益財団法人 日本心臓財団 2015
日本心臓財団・日本循環器学会
Japan Heart Foundation
Subjects
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ISSN0586-4488
2186-3016
DOI10.11281/shinzo.47.477

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Summary:症例は45歳男性, 2013年6月歩行中に心肺停止となり, 救急隊による電気的除細動施行後, 心拍再開し当院へ搬送された. 来院時全身CT, 電解質異常を認めずnon-STEMIであったため, 低体温療法, 全身管理を行った. その後意識状態の改善を認め, 冠動脈造影検査, 心臓CTを施行. 右冠動脈は左室, 冠尖の境界から30mm高位で左冠尖上部から起始を認めた. 左右冠動脈ともに肺動脈前面へ繋がる冠動脈肺動脈瘻を認めた. 右冠動脈は近位部で完全閉塞, 側副路より右室枝, 左前下行枝が造影された. 左前下行枝は近位部で完全閉塞, 左回旋枝はbridging collateralとなっていた. またadenosine負荷Tl心筋シンチでは3枝の虚血所見を認め, 心プールシンチではQp/Qs1.23の左右シャントを認めた. そのため冠動脈肺動脈瘻閉鎖術および冠動脈バイパス術 (左内胸動脈-左前下行枝, 大伏在静脈-鈍角枝, 大伏在静脈-第一対角枝, 右冠動脈は石灰化強くバイパスせず) を施行. 術後経過も問題なく神経学的後遺症なく第56病日に独歩退院. 後日の心臓核医学検査では左前下行枝, 左回旋枝領域の虚血が解除され, 核医学検査上有意な左右シャントも消失していた. 冠動脈高位起始は非常に珍しく冠動脈肺動脈瘻, 重症3枝病変を合併した極めて稀な症例であった. しかし, 集学的な治療によって後遺症を残さず良好な経過を辿った1例であったと考えられる.
ISSN:0586-4488
2186-3016
DOI:10.11281/shinzo.47.477