リハビリテーションを併用し, 高度鎖骨下動脈狭窄が改善した大動脈炎症候群の1例

症例は65歳, 女性. 右上肢の乏血症状をきたし精査加療目的に入院となった. 右橈骨動脈の触知はできず, 右上腕での血圧測定は不可であった. 造影CTにて右鎖骨下動脈の閉塞を認め, ヒト白血球型抗原-B52が陽性であり, 大動脈炎症候群と診断された. 副腎皮質ホルモンと抗血小板剤の内服に加え, 上肢のリハビリテーションを実施した. 負荷制御装置を用いて上肢のアイソキネティック運動 (回転数30回/分, 15分間) を実施し, また弾性バンドによるレジスタンストレーニングを併用した. 運動療法後には, 上肢の血行改善を目的にホットパックによる温熱療法も行った. 治療9カ月後の造影CTと, 血管造...

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Published inShinzo Vol. 47; no. 2; pp. 180 - 186
Main Authors 川口, 民郎, 岩井, 宏治, 林, 秀樹, 飛田, 良, 堀江, 稔, 酒井, 宏, 木下, 妙子
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益財団法人 日本心臓財団 2015
日本心臓財団・日本循環器学会
Japan Heart Foundation
Subjects
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ISSN0586-4488
2186-3016
DOI10.11281/shinzo.47.180

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Summary:症例は65歳, 女性. 右上肢の乏血症状をきたし精査加療目的に入院となった. 右橈骨動脈の触知はできず, 右上腕での血圧測定は不可であった. 造影CTにて右鎖骨下動脈の閉塞を認め, ヒト白血球型抗原-B52が陽性であり, 大動脈炎症候群と診断された. 副腎皮質ホルモンと抗血小板剤の内服に加え, 上肢のリハビリテーションを実施した. 負荷制御装置を用いて上肢のアイソキネティック運動 (回転数30回/分, 15分間) を実施し, また弾性バンドによるレジスタンストレーニングを併用した. 運動療法後には, 上肢の血行改善を目的にホットパックによる温熱療法も行った. 治療9カ月後の造影CTと, 血管造影検査にて右鎖骨下動脈の血管内径の増大・血流改善を認めた.  右鎖骨下動脈狭窄を認めた大動脈症候群症例において, 副腎皮質ホルモンの内服に加え長期間のリハビリテーションの継続が, 狭窄血管の血行改善に寄与できる可能性が示唆された.
ISSN:0586-4488
2186-3016
DOI:10.11281/shinzo.47.180